肝硬変の人は、肝臓の機能が悪いので食事療法をとりいれます。
肝硬変の食事療法に、LES療法があります。
LES療法とは、肝臓を保護しながら、うまく働いてくれて負担の少ない食事療法です。
肝臓の役割は主に3つ。
『代謝、解毒、生成/分泌』
その3つの機能が下がるので、LES食事療法が大事になってきます。
つまり、食事療法を取りいれる理由としては、肝臓になるべく負担をかけない食事の取りかたが必要になります。
肝硬変には欠かせないLES食事療法をわかりやすく解説していきます。
合わせてオススメ書籍も紹介していますので、良かったらみてみて下さい。
ではさっそく見ていきましょう。
目次
肝硬変になる人は、食事療法が必要になります。
たとえば、アルコール依存症の人は食生活が破綻して栄養状態が低下します。
結果的に肝硬変になってしまい、さらに栄養状態が悪くなるのが分かっています。
肝臓が悪くなると、先ほどお伝えした3つの働きがうまくできなくなってしまいます。
そうならないために、LES療法を取り入れます。
LES療法とは、肝臓に優しく1日のカロリーを分割して補う食事療法のことです。
たとえば、いかのような症状があれば要注意です。
「偏食だなぁ」 |
と思っている方や周りの方が感じているなら要注意です。
すでに、アルコール依存症で、肝硬変になりかけている可能性があります。
アルコール依存症は、自分では自覚できないことがおおく、周りの方の気付きからでないと気付いてもらえない状況が多いです。
また、肝硬変でなくても「食欲がいつもなかったり」「何となく体がだるい」とか「やる気が起きないしご飯を食べれない」という症状がある人は肝臓の機能が下がっているかもです。
肝硬変のLES療法をお伝えする前に、僕が担当した患者さんについて少し紹介していきます。
肝硬変の患者さんで、アルコール依存症がキッカケで入院してきました。
アルコール依存症には断酒が絶対条件なのですが、断言します。
お酒が大好きでアルコールに依存している人は「自分の意志力だけではお酒は辞められません」。
その患者さんは、断酒しそのままお酒を辞めましょう、となってる患者さんでした。
本人は入院中ずっとお酒に関して「もう辞めれる自信がある」と豪語していらっしゃいました。
性格的には穏やかな印象ですが、すぐにカッとなるタイプで、気持ちを表出したあとは、何もなかったかのようにケロッとしてるような、どちらかというと喜怒哀楽の起伏がハッキリしている方です。
ただ、こういったお酒大好きが高じて肝機能障害になってしまった方は、アルコールが原因で自制心のコントロールが利かなくなる人がおおい印象があります。
個人的な意見ですが、こういったアルコール依存症の方は、入院中は比較的治療も順調にすすみます。
しかし、この患者さんもお酒は辞めれないんだろうなという印象しかなかったです。
退院したら、またお酒を飲んでしまうだろうと思ていました。
理由は、自分の意志だけに頼って辞めようとしていたからですね。
人間はそんなに意志は強くないです。
強くないからこそ色んな工夫をして課題をこなしたり、誘惑に負けないように環境や状況を設定するんですが・・・
ことアルコール依存症にかんしては、自分の意志ではやめれないと認識することから始めないと、くりかえす可能性が非常に高いです。
そういって退院していった患者さんが、しばらくして程なく再入院になって来ることはよくあります。
自分で辞めれるという考えを改めない限りむずかしいと思います。
では、どうしればいいかというと
周りのひとたちの協力があってサポートがあって、管理してもらうことです。
本人だけじゃなく家族をはじめ、その人に関わる人たちがアルコール依存症に対する知識を持つことが大事になってくるんだと思います。
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LESとは、就寝前軽食療法(late evening snack)といって、一日のカロリーの夕食分から200kcalを就寝前に回す食事分割療法のことです。
つまり、夕食分のカロリーをすこし寝る前にまわすってことですね。
なぜこんなことをするかというと、
肝硬変は、肝臓の機能が低下してくると言いましたが、肝臓が悪くなると、栄養が効率よく取れなくなってきます。
その結果、血中のアルブミン値が下がってくるんです。
アルブミン値3.5g/dlを下回ってくるときはLES療法を取り入れて、エネルギー量を補給したほうがいいよってなるんですね。
では、なぜ分割して寝る前に200カロリーを取るかというと、肝臓のグリコーゲン貯蔵量が減少するので、食後10時間近くたった朝の時間に糖が不足になるからです。
つまり、朝の低血糖を防ぐためです。
特にこれが良いという食べ物は無いんですが、200kcalを目安です。
たとえば、おにぎりとかパンなどを摂ります。
一般的に、夜食や寝る前は肥満を助長させませんか?
と思う人は多いと思います。
でも、摂取カロリーの総量は変わりませんので心配いりません。
分割にしている理由はここにあるんですね。
先ほど紹介したアルコール依存症の患者さんは、朝の空腹が耐え切れずにいました。
なので毎朝、バナナとかヨーグルトなんかを間食していたんですけど、LESの説明をして寝る前に間食するようにしてもらいました。
しばらくLES療法を取り組んでもらったら、朝の過剰な間食もなくなり、総カロリーもそのままで治療ができました。
話をきくと断酒できたのは退院した翌日までで、つぎの日から「ちょっと飲んでみようかな」って考えが巡ってきたそうです。
入院してた時期に断酒できていたのが自信になっていたんでしょう。
すぐにまたお酒は止めれると考えたそうですが、そのまま断酒することが出来なくなり、自暴自棄になってしまったと言われていました。
本人は再入院のときには何も悪ぶれることもなく、病識もなかったですね。
淡々と語ってくれました。
その後しっかりした断酒の支援施設に入所しましたが、おそらく周りにサポートしてもらいながら断酒と向き合っていることでしょう。
肝硬変の食事療法についてLES療法を解説していきました。ポイントは以下の通りです。
考えてみたら、夕食から朝食まで12~13時間空くわけですから、肝臓もエネルギーが枯渇し、糖が不足になるのもうなずけますね。
健康であれば、プチ断食とかファスティングなんかが、いま流行ってて有効であるのは証明されてはいるものの、やっぱり事情がちがいますからね。
寝る前の間食は肥満になるという印象だったけど、肝硬変のLES食事療法のような食事をすると、肝臓にやさしく負担の少ないことが理解できます。
最後まで、読んで頂きましてありがとうございました。
参考にして頂けるとうれしいです。
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