今回は、血液培養の注意点について書いていきたいと思います。
感染症の原因検索に血液培養が行われることはよくありますが、入院中に高熱が出た時にまずオーダーが出されることがあります。
一番いいタイミングは悪寒戦慄が著明な時です。
つまり、高熱が出る一歩手前の段階ですね。
目安として38度以上の発熱時がよく言われますけど、熱に関係なく悪寒戦慄があってこれからどんどん熱が上がってくるかなーと見込める時が一番の血液培養のタイミングと言えます。
熱が高熱として上がり切ってしまうと体の中の抗体が一生懸命やっつけようと働いた結果熱が上昇するので上がりきったところで血液培養すると検出結果がやや下がるんだそうな。
細菌をやっつけようとするから熱が上がって菌が減るんですね。
また、抗生剤の治療の開始前に血液培養は行います。
もし、抗生剤の点滴などが開始されていたら次の投与前の直前に検査するのがタイミングとしては正しい。
血液培養は基本的に2セット準備します。
採血は違う場所から2回することになるんですな。
なぜ血液培養は2回採血するかと言いますと、検出率の問題があります。
エビデンスでは1回の培養検査では約30%の見逃しが報告されているからで2回採血することで10%以下に見逃しを押さえることが出来るからです。
血液培養は無菌操作で行われますがやっぱり人の手でするので何かしら採血時に雑菌が混入する可能性が高い。
なのでより正確に判断するために2回するということになってます。
例えば、これが3回採血したとしても検出率はあまり誤差が出ないことからも2回がルーチンとなっている施設が多いですね。
この採血手技時に皮膚の常在菌が血液に混入してしまうことをコンタミネーションと言います。
昔は1回ずつの採血時間を30~60分ずらして行っていましたが、あまり検出に影響がないと分かってからは2回とも続けて採血するようになりました。
場所が一緒でなければどこでもいいです。
同じ前腕の末梢でも場所が違えば大丈夫です。
時間を空ければ同じ場所でも問題ないと言われています。
どうしても血管が細くて取れない人は、鼠径部からとることになりますが鼠径部は細菌が多い場所ですのでなるべく避けます。
致し方ない時は、鼠径部のみの1セットのみで検査に提出することもあるんで無理に患者さんの苦痛を増やさないようにしたいです。
そんな時は相談して進めましょう。
これに関しては、賛否両論ありましてどっちからがいいというはっきりした結論は出てません。
ただ、優先順位として血液量が十分とれていれば嫌気性から先にボトルに入れた方がいいかもしれないです。
嫌気性は空気に触れふと検出できなくなるので、先に入れます。
血液量があまりとれなかった場合は好気性から入れた方がいいと言われていまして、それはなぜかというと
殆どの細菌が好気性ですのでとりあえず好気性を検出できる血液量を確保しておけば確率的に病原菌をカバーできるということが分かっているからです。
つまり、順番としては
が現実的な順番なのかなあと思います。
ボトルは2種類しかないけどオレンジとブルーに区別されていてオレンジは嫌気性
ブルーは好気性と決まっています。
これがよく入れる時に間違えの元になるんですよ。
オレンジとブルーの意味を逆に覚えていたり慌てたりしてると入れ間違えてしまうことがまあ多い。
あと英語表記になっているんでどっちがどうだったか混乱するんですな。
Aは肯定 Anは否定という意味ですが
つまり、Aは肯定なので好気性。Anは否定なので嫌気性。
って覚え方。
覚え方はいろいろでしょうが、私個人的にこんな感じで覚えています。
金メダルは1位なのでオレンジから入れる。
よく嫌気性をブルーと間違える人がいるんですね。多分、色のイメージがそうさせるんだと思うんです。
なので1位は金メダル。
なのでオレンジから入れる。
つまり嫌気性から入れることと一緒。
意外と間違えないですよ。