目次
医療関係の仕事に従事する人たちにとって、胃潰瘍の症状や治療について知っておかなければいけないことがたくさんありますよね。
胃潰瘍は急性胃炎のくり返しが長期におよぶと胃潰瘍に発展してしまうので、症状をみながら経過を観察していかなければいけないからですね。
この記事では医療関係者の仕事にかかわっていて、胃潰瘍の患者にせっする機会がある方や胃潰瘍の勉強のために症状について知りたい。
そんな胃潰瘍の症状ついての疑問や悩みに答えていきます。
わたしは看護歴16年ぐらいで現在、内科系一般病棟に勤めているナースマンです。
胃潰瘍の患者さんも入院してくるので、その経験を踏まえてお伝えしていきますので参考にして頂ければうれしいです。
この記事の内容は以下のようになっています。
|
胃潰瘍に関する症状は胃炎と同じみぞおちの違和感から起こることが多いです。
いきなり胃潰瘍になるというよりは、胃炎などの症状から始まり、心窩部痛などの腹部症状をくり返すことによっておこる慢性疾患になります。
さっそく胃潰瘍の症状について見ていきましょう。
心窩部(みぞおちの)の痛みや違和感は胃潰瘍の最初の症状として始まることが多く、おなかが張るような症状も多く聞かれます。
とくに、食事のすぐ後とかに心窩部痛を訴えたりする方が多いですね。
そういった症状をくり返しているならば、胃潰瘍になる可能性があることを考えた方がいいかもしれないですね。
また、それに合わせて胸やけや、悪心、吐き気をもよおしたりすることもあるので経過を見ること。
その後の症状も合わせて聞くと胃炎からの関連性が見えやすくなると思います。
入院してくる患者さんの初期の症状は、食欲不振から胃部不快感や心窩部痛を訴える方が多いです。
それに伴いむかつきや吐き気、膨満感など消化器症状が多いですね。
胃潰瘍になりやすい年齢は40~60歳代におおく男女比は1:1です。
次に、胃潰瘍の症状でよく聞かれる症状は悪心・嘔吐などのむかつきや食欲不振などの気分不快だと思います。
もちろん心窩部痛などの腹部症状が誘因となって引き起こされている症状なので、胃潰瘍の病気じゃなくてもおこり得ます。
悪心・嘔吐があるからといって胃潰瘍と判断するのは危険ですね。
が、消化器症状からの訴えなので急性期の胃炎がなおりにくくなっている可能性があります。
経過を見る必要がありますね。
また、診断がはっきりするまでの間に胃炎の症状をくり返すので、慢性の経過をたどってしまうこともあります。
胃潰瘍になる経過の特徴としては、症状をくり返すということです。
くり返す胃炎の症状や腹部の症状に対しては経過観察が欠かせないですね。
胃潰瘍の症状は必ず自覚するものでもないようです。
症状が分からないまま合併症を引き起こすこともあります。
合併症を起こす前に、事前の検診や定期的な検査が勧められるのは、無症状のころから胃潰瘍のリスクを減らす目的もあるんですね。
なので40歳をすぎたら定期的な胃カメラなどの検診が推奨されています。
備えあれば患いなしってことですね。
では、胃潰瘍になる病因は何が考えられるかといいますと、ピロリ菌の感染とNSAIDs内服薬の間違った飲み方にあります。
むかしは、ストレスや食生活による暴飲暴食なども胃潰瘍に関係していると言われていましたが、今はハッキリ否定されています。
ピロリ菌の感染とNSAIDsが胃潰瘍の病因というのが分かっていますので、そのことについて詳しく解説していきます。
ヘリコバクター・ピロリ菌といって、主に経口感染から胃の粘膜に感染します。
通常、胃の粘膜は消化酵素(胃酸)が胃壁を傷つけないように、粘液で胃壁をコーティングしています。
なので炎症を起こすことはありません。
しかし、ピロリ菌は自己を守るために特殊な分泌物(ウレアーゼ)を出しながら、コーティング部分の粘液に到達することができるので、生き延びることができるわけです。
感染経路は生活習慣や衛生環境で、成人では内視鏡検査のときの医原性による感染もあります。
ピロリ菌は年齢を重ねるとともに感染率も上がることが分かっています。
統計では加齢とともに上昇し20歳代で20%、60歳代では約70%です。
つまり、国民の約半数の人にピロリ菌は感染していると言われています。
ピロリ菌は胃潰瘍の病因でもありますが、胃がんの発生リスク因子でもあります。
また、機能性ディスペプシアにも関連があることも分かっています。
今は当たり前のように処方してもらっている鎮痛薬や解熱薬に、NSAIDsっていうのがあります。
が、高齢者はとくに注意が必要です。
NSAIDsは胃粘膜の保護するプロスタグランジン(PG)という物質をつくる酵素のシクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害や、直接的に胃粘膜を傷つけて胃潰瘍をつくってしまします。
また、NSAIDsは小腸や大腸にも潰瘍をつくることが分かっています。
ですので、たとえ薬のタイプを座薬にかえても潰瘍のリスクは変わりません。
ただし、セレコックスというNSAIDsは唯一潰瘍を少なくする薬理作用なので、高齢者や胃潰瘍のリスクがある方に使用されることが多いです。
胃潰瘍になりやすい間違った薬の飲み方があります。
気になる方がいたら、下記のチェックリストをしてみて下さい。
|
このチェックリストで1つでも当てはまる場合は胃潰瘍になるリスクがあります。
ですので、腹部症状が続いている方や心あたりのある方がいる時は正しい服用の仕方を確認してください。
これを守るだけで症状がなくなって胃潰瘍のリスクをなくせると考えたら、儲けもんですよね。
むかしは「ストレスから胃潰瘍になった」という話をさんざん聞かされてきましたが、実はストレスで胃潰瘍にはなりません。
もちろん、胃潰瘍に全く関係ないとは言いませんが、医学的にはストレスは直接的には関係ないという結論です。
関係ないと言ったものの、症状を悪化させたりすることの原因としては十分に考えられますので、なるべくストレスはないにこしたことはないわけです。
そもそも、胃潰瘍は胃を守る防御因子(分泌物や血流とか胃の健康状態を保つホメオスタシス)と攻撃因子(ピロリ菌やNSAIDsとその他ストレスや喫煙などの環境要因)のバランスが崩れることによって引き起こされるという説がいちばん言われています。
何が言いたいかというと、ストレスだけでは胃潰瘍は起こさないけど、ない方が胃にもいいに決まってるってことですね。
タバコも「百害あって一利なし」ってことです。
胃潰瘍とその症状について解説していきました。
胃潰瘍は胃炎の繰り返しの症状が慢性化してくると発症してしまう慢性疾患です。
その原因はピロリ菌とNSAIDsが2大病因ですので、改善できそうな薬の飲み方などや、ピロリ菌の検査を考えるのも大事ですね。
また、医療者なら専門的な知識は必要になってきますので、もっと詳しく知りたいという方は本を見て学ぶのも大切です。
参考にして頂けたら嬉しいです。
最後まで読んでくださいましてありがとうございました。