メトホルミンの作用機序について分かりやすく解説していきますね。
そして、メトホルミンの極めて稀に起こる副作用について知っておかなければいけないのが「乳酸アシドーシス」です。
乳酸アシドーシスは、特徴的なビグアナイドの副作用なのでセットで理解しておくことをオススメします。
看護していく場面でもその異変や変化に気付けると「おお!さすがよく知ってるね!」ってなると思いますので必見ですね。
なので、この記事ではメトホルミンについて以下のことを分かりやすく丁寧に解説してみます。
合わせてオススメ書籍も紹介してますので、良かったらみてみてね!
では、さっそくみていきます。
目次
メトホルミンは、糖尿病の治療薬ですね。
糖値が上がり過ぎないようにコントロールするために飲みます。
ビグアナイド薬の作用機序を、ひと言で説明すると「インスリン抵抗性改善薬」です。
抵抗性?
難しいですね。
カンタンに言い換えると、「インスリンの質を良くしてくれる薬」と理解してもらったらいいです。
で、もうひとつの特徴としてインスリン分泌を促さないというのがあります。
要約するとビグアナイドの作用は以下の2点
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インスリンとは血糖値を下げるホルモンであることは知っていると思いますが。
食事を取ると血糖が上がるので、上がり過ぎないようにインスリンが膵臓から分泌されますよね。
このインスリンの出る量は血糖値に応じて分泌されるんだが、分泌される量は適切で問題ないのにインスリンの濃度がうっすーいんですね。
薄いと効きが弱いんですよ。
つまり、質が悪いんです。
例えるなら、家でカルピスが飲みたくて原液を薄めて作ってみたらめっちゃくそ薄くてマズいみたいな感じです。
メトホルミンは、インスリンの質を高めてくれる薬なので適切な量が分泌しているならもってこいの治療薬になります。
この作用機序の糖尿病薬をビグアナイド薬と分類してます。
ちなみになんですけど、下記も参考になりますね。
血糖値を下げること、脂肪を減らすこと、というのは実は昨今アンチエイジングの基本と言われることでもあり、実はこのビグアナイド薬、アンチエイジング作用がある、といった話や、寿命を延ばす働きがある、という臨床研究も出始め、「若返りの薬」などとにわかに注目を集めてもいます。
なぜ、若返りの薬と呼ばれているかと言うと、膵臓には働きかけず全身の末梢臓器に働きかけることや、肝臓のAMPキナーゼが活性化されると、脂肪がエネルギー源として燃焼されるのが促される。
つまり何が言いたいかというと、細胞が活性化されるような働きかけが作用としてみられるので、細胞が元気になる。
結果、若返るんじゃないか?って期待されています。
実際に多くの研究で、マウス実験から高齢者を対象にした追跡調査でもいい報告が出てきているんですね。
もっと詳しく概要が知りたい方は、こちらのサイトをご参照してみてください。 糖尿病ネットワーク:https://dm-net.co.jp/calendar/2016/024632.php
では、どんな機序で働くかというと、肝臓・骨格筋・脂肪組織・腸管での膵臓以外での作用を中心とした薬剤になりますね。
ポイントは、膵臓には働きかけず他の場所で利用されるインスリンの質が上がることで血糖を下げるということ。
さて、ビグアナイドであるメトホルミンの作用機序は大きく分けて3つあります。
ビグアナイド薬でポピュラーな薬は、メトホルミン塩酸塩(メトグルコ、メトホルミン塩酸塩MT)で、メトグルコの後発品はすべて「MT」がもれなくついてきます。
あとはブホルミン塩酸塩(ジベスト)ってのがあります。
そんなには種類はないので何となく名前のイメージでメトホルミン繋がりかなってわかりそうな感じではありますね。
メト・・・何ちゃらとか、何ちゃらミンみたいな。
ビグアナイドの作用機序として覚えておいていいのは、膵臓以外で作用してくるってことだけでいいと思われます。
要約すると・・・
インスリンの質を膵臓以外の臓器で高めるのがメトホルミン最大の特徴ということですね。
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トホルミンというよりもビグアナイド全般のことですが
ビグアナイド薬の作用が糖尿病の治療に向いている患者さんはどんなタイプかと言うと
インスリン分泌が過剰か、または普通に出てる人には向いているといえます。
つまり、インスリン抵抗性を改善させる効果があるので、ざっくりいうなら肥満患者が良い適応になりますね。
なぜ肥満患者なのかについて詳しく解説した記事があるので、合わせて読んでいただくと理解が深まると思います。
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逆に経口摂取が困難な患者さんや、寝たきりなどの全身状態が悪い人、妊娠をしている人は投与ができません。
これについて解説していきますね。
結論は、「乳酸アシドーシスになりやすく起こしやすい人は使えない」
と言うのが理由になります。
では、乳酸アシドーシスについて詳しくカンタンに理解できるように説明してみますね。
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教科書的な説明すると乳酸アシドーシスは以下のような感じになります。
・乳酸アシドーシスとは、血中に乳酸が溜まって増加した結果おこる疾患でして、代謝性アシドーシスをきたしてしまい重症化すると意識低下を引き起こし昏睡に陥る予後不良の疾患です。 |
稀ではありますが、乳酸アシドーシスを起こすと致死率50%とめちゃくそ高めです。
上記の説明で、代謝性アシドーシスってのがいきなり出てきてますね
そもそも、代謝性アシドーシスって何?
てなると思いますので、ちょっと説明しますね。
「知ってるよ!」っていう方は飛ばして下さい。
代謝性アシドーシスとは、一言でいうと以下になります。
・代謝性アシドーシスとは代謝的な要素による酸の増加(産生過剰か排泄低下)や,HCO3–の低下によって酸血症が引き起こされる病態全般を指す。 |
ここで今度はHCO3ーってワードが出てきました〜。
重炭酸イオンのことですが、深掘りしていくとどんどん謎に包まれていきますね。
次に進みます。
代謝性アシドーシスで理解しておけばいいことは、以下の通りです。
体が酸性に傾くかアルカリ性に傾いているかを現しているんだが、アシドーシスは酸性に偏ってます。
で、代謝性ってことは体の代謝に関わる機能が酸性に傾けてるってことです。
代謝に関わる機能とは、腎臓のことでして
酸の排泄、または酸の生産が腎臓で上手くバランスが取れなくなると代謝性アシドーシスになります。
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トホルミンを飲んでいるなら乳酸アシドーシスの初期症状は、
悪心・嘔吐・腹痛・下痢などの消化管症状を示します。
ビグアナイド薬を使った患者さんに多くみられ、とくに腎機能障害患者(透析患者を含む)、脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取などの時、心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者、高齢者は注意が必要みたいです。
詳しい情報は、日本糖尿病学会の「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」をご参照ください。
ビグアナイド薬を使った初期症状で最も多いのが、悪心・嘔吐・腹痛・下痢などですが、これらを起こした場合は、医師に報告し休薬の可能性が出てきます。
単独での服用ではさらに稀なんですが、他の糖尿病薬を併用し低血糖になった場合は低血糖に対する注意・指導をします。
ビグアナイド薬の投与に関して乳酸アシドーシスにならないように以下の方は使わないようにしましょう。
まだたくさんあるんですが、頭が混乱してくるんでまとめてみますね。
ビグアナイド薬を服用開始や増量した時の消化器症状(げりや腹痛)とか、悪心・嘔吐が症状として見られる場合には、医師に相談して薬の中止かの判断を検討したほうがいいってことですね。
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グアナイド薬の作用時間はピークが2~3時間です。
持続時間は6~14時間です。
飲み忘れたときは、気付いた時点で飲んでOKです。
また、食事量には関係ないので食事量に合わせて薬を減量することもないです。
ただ、脱水に注意が必要なので水分が取れなくなっている時は、乳酸アシドーシスを起こしやすくなるので休薬します。
シックデイの時も乳酸アシドーシスになりやすい状態なので休薬か、もしくは中止します。
ビグアナイド薬と言えば、「メトホルミン」と覚えておいた方がいいですね。
最後に、メトホルミンと乳酸アシドーシスについてまとめますね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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