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H31年1月27日現在、インフルエンザ患者が急増しておりまして、厚生労働省の14~20日の1週間に報告されたインフルエンザ患者は1医療機関当たり53.91人と昨冬の54.33人に迫る多さで流行しまくっているわけです。
そんななか、新しいインフルエンザ治療薬のゾフルーザって薬が出ていまして、当院でも内服した患者さんがいました。
ただ、国立感染症研究所は、新しいインフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」を使った患者から、治療薬に耐性をもつ変異ウイルスが検出されたと、24日発表しておりまして今後の動向が気になるところではあります。
近年発売したゾフルーザは、5日間連続でのみ続けたり、吸入が必要だったりする従来の薬と比べ、1回錠剤をのめば済むため、ネットなどで「画期的な治療薬」として話題になった新薬。
一方、臨床試験の段階から、従来のインフルエンザ治療薬より耐性ウイルスが生まれやすいと指摘されていました。
耐性ウイルスが広がると薬の効果が薄れるため、どうなのって感じであります。
耐性変異ウイルスが見つかったのは昨年12月で、横浜市の小学校2校でインフルエンザの集団発生があり、A型にかかってゾフルーザをのんだ2人の小児から検出された。
変異を持たないウイルスに比べて、ゾフルーザに対する効きが約80~120倍悪かった。
2人の耐性変異ウイルスは遺伝子配列が異なり、ヒトからヒトへの感染ではなく、それぞれの体内で増殖したとみられるという。
薬の名前 | 成人投与量 | 服用方法 |
タミフル | 1日/2回を5日間 | 口から飲む |
リレンザ | 1日/2回を5日間 | 口から吸う |
イナビル | 1回のみ服用 | 口から吸う |
ラピアクタ | 1回のみ服用 | 注射 |
ゾフルーラ | 1回のみ服用 | 口から飲む |
インフルエンザ治療薬の名前と使用方法
子どもに対する検出率ではありますが、高齢者も同じようにゾフルーザに対する効果が悪くなる可能性は高いっすね。
ゾフルーザは臨床試験でも、耐性変異ウイルスの検出率が12歳未満で23・3%、12歳以上で9・7%と高かった。
タミフルなど従来の治療薬の検出率は0~2%程度だったようです。
数字から見てもあんまり使いたいとは思わないですが。
私の病棟で発生したインフルエンザ患者さんもこのゾフルーザを服用することとなって経過観察しておりました。
その患者さんは90歳を超えるご高齢の患者さんで、アルツハイマー型認知を持っており認知症などをベースに持っています。
もうそろそろ退院かなって所でしたが、突然38.5℃の高熱が出たため診断キッドで検査したところ、インフルエンザA型の陽性のラインが付いてしまいました。
病棟ではすでに面会制限が敷かれておりまして、外部との接触はありません。
ってことは職員がウイルス媒体の可能性があるってことになります。
病棟内でインフルエンザ罹患患者が発生してしまったら、病院側の対応として一斉に病棟患者さん一人ひとりに、インフルエンザ患者が発生しないように予防投与する必要がありまして、病院の規定で決まっております。
すぐさま病棟患者さんの家族に電話連絡してインフルエンザの発生と予防のための内服薬の投与をすることに対する許可を取ります。
ちょうどその日は、夕方日勤帯が終わる頃の発生だったのでスタッフみんな残って電話連絡と予防薬の確認とセットをしました。
罹患した患者さんは大部屋だったんですが、すぐ個室へ移動させ個室隔離としました。
すぐさま新薬のインフルエンザ治療薬のゾフルーザを2錠内服してもらい症状が悪化しないか経過観察していくこととなりましたね。
その後発熱はすぐに解熱し翌日には平熱へ戻りました。
呼吸器症状も特別なく経過して食事量も変わらずほぼ全量摂取出来ております。
ゾフルーザが効いたのでしょうか?結果的には解熱し、症状もなく経過したので良かったです。
ご高齢なので油断はできませんでしたが、咳も軽度で呼吸苦や酸素低下などもなく発症から7日が経過し個室隔離解除となり大部屋へ戻ることができました。
今回のインフルエンザ罹患で重症化はしなかったものの、隔離適応となったため部屋から出られず床上生活が余儀なくされてしまいました。
今後のADLの拡大や離床に向けてのサポートが必要ですね。
アルツハイマーも既往歴としてあられるので元の生活に戻れるか難しいのかもしれません。
日常生活動作が無くなるリスクとして褥瘡が問題になりますが褥瘡のの発生はなく、精神面からの不穏や危険行動は見られていないので少しづつ離床に向けてADL拡大に向けて援助していこうと思います。