急性膵炎の時の看護はどうするのか?
について書いていきます。
先に言っておくと、急性膵炎の看護は対処療法しながら安静と絶食・補液管理です。
それについて分かりやすく解説していきます。
この記事を読んで理解できることは以下の通りです。
また、オススメ書籍も紹介してますので、良かったらみてみて下さい。
では行ってみましょう。
目次
急性膵炎になる原因はおもに2つです。
1・アルコールの多量摂取
2・総胆管結石
そもそも上記の2つが原因として多いです。
急性膵炎とは、膵臓を自分で攻撃して炎症を起こすのが特徴です。
結果、腫れてきたり、壊死、出血を起こします。
軽ければ絶食で治療していきます。
でも、ときに重症化すると膵臓に細菌が繁殖して感染症を引き起こします。
最悪MOF(多臓器不全)でショックになっちゃう怖い病気でもあります。
最初は無菌的症状なので治療もしやすいです。
看護もこの段階ならなんてことはないです。
ですが総胆管結石など膵管が詰まってしまうという厄介な病気を持っている場合、感染徴候には十分注意して観察する必要があります。
見逃せませんね。
また、膵管が詰まるだけでなくオッディ括約筋の機能がうまく働かなかったりしても膵管内圧が上がって感染のリスクが上がっちゃいます。
急性膵炎になる原因はアルコールが多いけど、それだけではないです。
最近では遺伝的要因もある!ってことが分かってきてます。
急性膵炎の症状は急に起こることが多くて、嘔吐と激烈な痛みで心窩部から左季肋部を中心に自覚します。
また背部まで知覚過敏を自覚することもあり心窩部から背部までの知覚過敏を訴えたら特徴的な症状です。
この領域をヘッドの過敏帯と言います。
他に急性膵炎で特徴的な所見がありますので合わせて覚えておくと非常に役立つかもです。
さて、急性膵炎は重症化すると、とても厄介ですと書きました。
膵臓の臓器障害だけじゃなくバイタルサインの変化に注意すること、チアノーゼや意識障害とあわせて皮下出血徴候の出現にも注意していく必要があります。
基本的には、対症療法に加え安静と絶食、補液になります。
看護もそれに沿った対応や援助が中心になります。
疼痛緩和には塩酸ペチジン・ペンタゾシンと硫酸アトロピンの併用がオーソドックス。
抗コリン薬は効果がうすいようです。
モルヒネは疼痛コントロールが難しい時にチョイスされますが、硫酸アトロピンとの併用にて行います。
理由は、モルヒネがオッディ括約筋の緊張を高めてしまい膵管内圧が上がるためです。なので基本的にモルヒネは禁忌となっています。
膵臓は後腹膜臓器といって胃の後ろに隠れていて、腰骨(第1~2腰椎)の前にあるので検査しても見つけにくい場所にあるということ。
膵臓は頭部・体部・尾部の3つに分かれていて頭部は十二指腸に囲まれているような状態です。
イラストを見てもらうと主膵管と副膵管の2つ管があります。
主膵管は肝臓から延びる総胆管と合流して下部のファーター乳頭に繋がります。
ファーター乳頭の開閉はオッディー括約筋が担っていて、食べ物が通るとそこが開き消化酵素を注入するようになっています。
膵臓は外分泌と内分泌を9:1の割合で分泌します。
膵液は糖質を分解するアミラーゼが有名ですね。
脂肪分解にはリパーゼがするけどついでにアミラーゼも分解しちゃう機能があります。
たんぱく質の分解酵素はそのままでは分解してくれません。複雑な工程をとるためです。
内分泌はほぼ尾部のランゲルハンス島という細胞から分泌されます。
B細胞ではインスリン A細胞ではグルカゴン D細胞ではソマトスタチンです。
膵臓には外分泌と内分泌機能の2つあると書きましたが、消化酵素を分泌する外分泌の検査方法って2つしかないんですよね。
膵炎は自分の膵臓の細胞を壊してしまう病気なので、血液中にアミラーゼやリパーゼなど消化酵素の血中濃度値が上がってきます。
診断の手掛かりに使われます。
もちろん確定診断は画像検査も行ったうえで総合的に判断することにはなるんですが。
アミラーゼの値は膵炎が発症して12~24時間後に最高値になります。
そして、数日かけて基準範囲に戻るということを理解しておきましょう。
上がりっぱなしではないということですね。
あともう一つ、アルコール性の膵炎では、アミラーゼの数値が低値を示すことが多いのでさっき言ったような他の膵酵素も一緒に測定することが多いです。
アミラーゼの血液検査の基準値は37~125IU/L。
尿中アミラーゼも血中のアミラーゼ濃度と同じ動きをしますが、やや遅れて上がっていきます。
ここで注意してもらいたいのは、腎機能が悪い患者さんでは尿中アミラーゼ値は上がらないということです。
膵炎ではアミラーゼが非常に診断の指標になることが分かりますね。
次に、BT-PABA試験(PFD試験)という検査があります。
先ほどお話しした尿中アミラーゼとは別にキモトリプシン分泌が尿中にどんくらいあるかを測定する検査です。
キモトリプシンって膵臓から分泌されるわけですが、たんぱく質を分解するときに出る分解酵素で、この値が高いってことは炎症反応が膵臓に起こっているという意味になります。
膵液が膵臓を攻撃しまくってキモトリプシンを出しまくってる状態ですね。
方法は、BP-PABA(PFD)という薬を飲んで6時間蓄尿した尿中の排泄量を測定するとキモトリプシンの濃度が評価できるというものになります。
最初に書きましたが実際の臨床では一部の検査で膵炎の確定診断が出来るものではなく、このほかに問診や診察、画像検査などを行って総合的に判断するわけです。
あくまでも診断の補助にしかならないことは念頭においてください。
急性膵炎という病気は突然発症し痛みが強いので、重症化しないようにバイタルサインの変化や特徴的な所見を見逃さないよう継続した観察をしていく必要があります。
患者さんの既往歴や急性膵炎の原因を検索するとともに感染のリスクが高いのかなどを推測しながら介入していけるような関りが大切になってきますね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。