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看護師になって1年目の僕は看取りにたいして大きなショックを感じました。
「人っていつかは死ぬんだ」「人に死がこんなに身近に起こるのが病棟なのか」
以上のような気持ちを経験して、初めての看取りの時は気分が萎えたのを覚えています。
看護師になれば、病棟に勤めると科によっては看取りに遭遇する可能性はかならずやってきます。
1年目の僕は立ち直るのにも必死でしたし、仕事として受け入れつつ業務をこなしていかなければいけない板挟みにあったので、悩んだし、解決しなければとも思いました。
その経験をふまえて同じような気持ちを持った方に、少しでも安心できる情報を書いていこうと思います。
この記事を読んで「ホッとしたり」「疑問や悩みが解決出来た」と感じて頂けたらうれしいです。
看取りに関するこの記事の内容は以下の通りです。
では、さっそく見てみましょう。
看取り後の流れはとても重要です。
死後の処置、エンゼルケアから出棺まで何をどう段取りして、流れを進めていくかについて分からない部分が多いので分かり易く書いていきます。
私の勤めている病棟では患者さんがお亡くなりになるのことが割と多くて、初めて立ち会った時は相当の精神的ショックを受けました。
多分新人看護師にとっては避けては通れないイベントではないかと感じますね。
看取りの前になると、心拍数が減ってきます。
そうなるといくら酸素を投与しても回復は望めない為、酸素は1Lに落とし看取りの段階に入り流れを考える必要があります。
看取りの段階になる前にまず、家族のキーパーソンに連絡し患者さんの今の状態をお伝えします。
その後、主治医に連絡します。
家族の到着時間を聞いておくのを忘れないようにします。(到着時間で進めるスピードを調整できるからですね)
次に、主治医が到着するまでに聴診器、ペンライト、時計を用意するという流れです。
死亡診断書を準備し患者さんの保険証を印刷しておきます。(電カルから)
モニターの心電図波形は用紙に出し、デジカメに取った後電子カルテに取り込みます。(必要ない施設もあります)
主治医が到着したら病室へ一緒に行き同席します。
一緒に看取りを行った後、主治医が死亡確認を行います。
聴診器は心音を確認するためで、ペンライトは瞳孔の動きを見て、時計は亡くなられた時間の確認に使用します。
死亡確認が終わったら主治医は退室します。
その後、看護師は今後の大まかな流れを説明しますが、誰に伝えるのかをその場の空気や状況で見極める必要があります。
ただ立ち会われた家族にすればいいというものではありません。
中には、取り乱したり到底伝えられない状況はあると思うので、一番適切であろう方に伝えるかどうかを判断しなければいけません。
とても神経を使う場面の一つであります。
そして、看取り後のスムーズな流れがここで決まります。
伝える内容は、以下の通りです。
主治医は、死亡確認証を発行します。記入されたら誤字脱字がないか看護師もチェックします。
確認証はコピーを取りスキャンして電カルに取り込みます。
死亡診断書の原本は便せんに入れて「診断書在中」と記入し、家族に渡します。(家族の方にも死亡診断書に記載されてある名前や住所に間違いがないか確認して頂きます)
その時、場の空気を読んで誰に渡すのかいつ渡すのかのタイミングがとても大切になります。
説明としては以下の通りです。
忘れないように出棺前までに渡さなければいけません。
エンゼルケアについてですが、エンゼルセットと指定の浴衣、化粧道具等が入っているボックスを出します。
清拭用にお湯を入れたバケツにスキナベーブを入れ、タオルを2枚、台車に乗せてビニール袋の大きいサイズも準備します。
清拭は、始める前にご遺体に向かって一礼をします。
看護師は、エプロン、マスク、手袋を装着して行います。
衣服を脱がせます。清拭を家族と一緒に行うこともあるのでどうされるかを尋ねます。
今は、鼻や肛門などに詰め物をすることはあまりなく、よっぽど汚染物が出ない限りは詰めないようです。
ご遺体には声をかけながら行います。行うときモニター類や針などは外します。
皮膚縫合が必要な時もあるんでどうするか確認します。
カニューラは捨てます。
麻薬などでフェンタニルテープなどの貼付剤がある時は捨てずに薬局に返却するのを忘れないようにします。
万が一一緒に捨ててしまったら見つかるまで探さなければいけなくなりますので。
お着替えが終わったら、両手を真ん中で組ませ、口は閉じるように枕や顎バンドを使ってあてます。
髪の毛は櫛でときます。男性ならひげをそり女性ならお化粧をします。
ご遺体を整えたらストレッチャーに移し毛布を掛け、ご家族と一緒に霊安室へ向かいます。
布団を顔まで覆い見えないようにして移送します。
霊安室では、お焼香の準備をします。
あらかじめ霊安室の鍵を開けて空調を付けておく必要があるので、誰かに依頼しておきます。
葬儀屋が来るまで待機となるのでインターフォンが鳴ったら、病棟に内線の電話していただくことを伝えその場を離れます。
その後に到着される家族や親族に対しては霊安室に案内してよいかを聞いておきます。
看取りが近くなったら家族に連絡して、主治医に連絡します。
必要物品を用意し、最後の見送りまで待機します。
なるべく家族とともに看取りが出来るように、時間調整をして死亡確認に立ち会います。
家族の誰に今後の流れを説明するのかを判断して、エンゼルケアに入ります。
出棺までの流れをお伝えし忘れ物がないようにします。
このように、死後の処置では家族の関りや感情の整理に大きく左右される状況です。想定しながらも事務的なことも処理していかなくてはいけないので、至極丁寧な対応が必要であります。
ちなみに、患者さんの申し出で自分の自家用車で葬儀屋に運びたいという申し出がありました。
家族が直接葬儀屋さんに確認していたのですが、死亡診断書があれば一緒に移送しても良いとのことで、一般的に病院側の判断で個人での移送は断ったり大丈夫だったりすると言われたそうです。
色んなケースがあるんで参考にして頂ければ嬉しいです。
以上。「看取りの流れを知ってこそ看護の仕事【看取りから出棺を解説】」でした。