今回は心不全患者さんの看護と観察すべき点は何なのか?
について書いていきます。
入院で1.2を争うぐらい多い疾患は、うっ血性心不全ではないでしょうか?
心不全は呼吸が苦しくなって肺に水が溜まってくるので、息苦しさや労作時の呼吸困難感などが主な主訴の疾患です。
心不全の患者さんに対して、何を観察してどこをアセスメントして看護につなげていけば良いか、少しでも参考にしていただけるとうれしいです。
この記事を読んでわかることは以下の通りです。
またおすすめ書籍も紹介してますので、よかったらみて見て下さい。
ではさっそく見てみましょう。
目次
心不全だから心臓自体に意識が向きそうですけど、呼吸に目を向けると良いと思います。
主な訴えが呼吸困難だからですね。
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心不全は、左心室の動きが悪くなることによって酸素がうまく取り込めなくなります。
肺うっ血や肺水腫が呼吸困難の原因なんですね。
つまり、肺に水が溜まってくるんですけど、血液の流れが悪くなると肺に余計な水が溜まってしまいます。
溜まってしまった水は肺が酸素を取り込むスペースを狭くしてしまうので、肺の換気効率が悪くなるせいで呼吸が苦しくなり呼吸回数が増えます。
肺が水浸しでアップアップ💦状態をイメージしてもらえばいいでしょうかね。
そんな状態だと本人は苦しくてたまんなくなります。
それを少しでも改善しようと心臓は酸素を肺に送るべく必死に動かして頑張ろうとするわけです。
だんだん心臓も疲れて疲弊してしまいますから、さらに肺に水が抜けずにどんどん溜まってくるんで循環が悪い上に水が溜まりまくって悪循環の負のループが形成されているわけです。
つまり、「心不全の患者さんは酸素不足である」ってことを覚えて下さい。
急に呼吸困難感を訴えた患者さんに対して行うことは、酸素投与量の増量です。
心不全は酸素を取り込むスペースが狭くなっているので、酸素量を増やしてあげないと簡単には改善してくれないです。
先ほど、心不全は呼吸回数が増えると書きましたが、その代償として酸素の消費量が増えます。
理由は呼吸筋を多用するんですが、筋肉は酸素消費量が多いので余計に酸素が必要ってわけですね。
心不全の患者さんは呼吸数が増えて努力呼吸になったり、呼吸促拍で酸素を取り込もうとしますが、なかなかSPO2が上がってこない場合があります。その場合の治療は酸素投与になります。
初期治療はカニューラや酸素マスクの持続投与でSPO2が改善するかを見ていきます。
それでも改善しない時は、NPPV(非侵襲的陽圧換気)ニップを開始するとSPO2が改善し努力呼吸が無くなってきます。
NPPVとは、挿管しなくても鼻もしくは口鼻をマスクで覆い気道に酸素の陽圧をかけることによって換気をするマスクのことです。
※ここでのメリット、デメリットとは人工呼吸装着時との比較でのことです。
メリットは3つあります。
デメリットは4つあります。
NPPVは一般病棟でも使用されてきていますが、まだまだ使用頻度は少ないのが実情のようです。
循環器の疾患を2倍にする睡眠時無呼吸症候群(SAS)は寝ている時に呼吸が一時的に止まってしまう疾患です。
心不全の患者さんは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が出現していないかどうかを観察して心不全の治療改善の妨げにならないように看護しましょう。
どのくらい呼吸が止まっているかなどを観察しておけばいいかと思います。
急性心不全ガイドラインには酸素の指標として、SPO2:95%以上と明記されているので心不全が改善傾向になるまでは、身体には酸素を投与する必要があるんですね。
つまり、「心不全は睡眠時無呼吸症候群でないかの評価をする」ってことを覚えて下さい。
心不全の患者さんは貧血にも注意が必要です。
理由は、酸素を運んでいるのはヘモグロビンなのでヘモグロビンの総体数が少ないと、たとえSPO2が100%だったとしても総体的に運ばれている酸素量は少ないからです。
心不全の患者さんは、貧血も持ってるかなと片隅に置く必要がありますね。
つまり、心不全の患者さんで貧血を持っていたり、ふらつきなどの貧血症状の出現は要注意です。
「心不全の患者さんは貧血がないか観察する」ってことを覚えて下さい。
心不全と言っても病態は様々だと思います。
だけど酸素不足になっていないかとか睡眠時の呼吸状態はどんなか?
とかバックグラウンドに貧血の症状の有無がないかなどの3つをベースに見ていくと、患者さんを観察する際に大きな手掛かりになります。
また対応の根拠が分かると落ち着いて行動できるので迷わなくなります。
以上、「心不全で観察する重要な3つの項目は「呼吸困難」「SAS」「貧血」の出現に注意しましょう」でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。