日本人に最も最適ではないかと言われているDPP-4阻害薬について、分かりやすく解説していきますね。
DPP-4阻害薬は、日本人にとっても相性がいいと言われています。
この記事では、その理由と使い分けを伝え説明していきます。
目次
まず、インクレチンの作用ということで、ホルモンについて解説しないとDPPー4の理解がしにくいので、ごくカンタンに説明してみますね。
インクレチンとは、食事を摂取すると消化管から分泌されるホルモンのことを言います。
膵臓にある膵β細胞膜というとこにある受容体に結合して、インスリンの分泌を促す働きがある。
というのがインクレチンの作用です。
つまり、インクレチンが分泌されると血糖値は下がります。
このことだけ理解していればだインクレチンの作用について覚えることはないです。
ちょっと具体例を言うと、
例えば、ご飯を食べると血糖値が上がると同時にインクレチンが分泌されるので、血糖値が下げられるという状態が起こります。
インクレチンの作用には、2つの種類がありまして、GIPってやつとGLP1。
食事を食べると消化管からインクレチンが分泌されて、GIPとGLP1の2つで血糖値を下げてくれることになるんですね。
以上が、インクレチンについての説明になります。
では、「DPP-4ってなんだ?」というと
分解酵素のことです。
カンタンにいうと、インクレチンを分解して無能状態にしてしまうヤツがdpp-4ですね。
下記の図にちょうどいいのがありましたので、参考にしてみて下さい。
図を見てみると、結論は血糖値を下げる機序が書かれていますね。
dpp-4はインクレチンを無能にするので、「血糖値が下がりません。」
という状態になります。
人に体には、血糖値が下がらないようにする機能が他にもたくさん備わっています。
その理由は、低血糖になると生命に危険を及ぼすからですね。
なので、血糖を下げる機能はインスリンだけなのに対して、血糖を下げさせないようにする機能が人の体には複数備わっているわけです。
その一つがDPPー4の存在になります。
低血糖になりすぎないようにDPP-4がインクレチンを分解して血糖値を上げようとする防御反応と思っていいです。
というのも、大昔は食べ物がないのが当たり前で、飢えと隣り合わせの生活が基本だったし、飢えを凌いで生きてきたので人類の進化の過程で血糖を上げようとする機能が備わっていったという歴史的背景があります。 |
話を戻しますね。
ちょっと難しいと思いますが、ちゃんと解説すると以下のような感じです。
素直に下げさせないようにジぺプチジルペプチダーゼ-4(つまりDPP-4のこと)という酵素が働き、インクレチンをすぐさま分解しちゃって、血糖値を下げる効果を無くしてしまう。
つまり、DPP-4阻害薬はDPP-4を阻害するから血漿中のインクレチンは分解されないので、インスリンの分泌が促されて血糖値が下がるというメカニズムとなっています。
DPPー4を阻害すると血糖を下げる以外にもメリットがありますので、まとめてみますね。
3つ目の下線部分のメリットについては、別の記事にくわしく解説しているのでリンクを載せておきますね。
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DPPー4阻害薬の飲み方の使い分けと薬の一覧を紹介
DPP-4阻害薬は以下のような飲み方の使い分けがあります。
上記の服用が使い分けで選択できます。
【1日1回の服用でいい薬】
シタグリプチンリン酸塩水和物(シャヌビア、グラクティブ)ビルダグリプチン(エクア)、アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ)、リナグリプチン(トラゼンタ)、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリア)、アナグリプチン(スイニー)サキサグリプチン水和物(オングリザ) 【1週間に1回の服用でいい薬】 オマリグリプチンン(マリゼブ)、トレラグリプチンコハク酸塩(ザファテック)があります。 |
主流としては、1日/1回がほぼほぼだという印象ですね。
1週間/1回は、僕はまだ飲んでる人は見たことないです。
DPP-4阻害薬を服用して効果が出やすいタイプがあります。
下記3つですね。
特に高齢で腎機能が低下している患者さんには、用量調節や胆汁排泄型の薬を選択することで安全に使用できます。
胆汁排泄型のDPPー4阻害薬があって、トラゼンタがこれに当たります。
トラゼンタの作用について少し解説してみますね。
胆汁排泄型と言って、普通は腎臓から排泄されるのに対して便中から排泄される経緯を取るので腎臓が悪い人でも適応できるのがトラゼンタです。
一方、DPP-4阻害薬の使用を注意したい患者は以下の通りです。
また、上記患者でも効果が出てきても、日常の食事で脂質の摂取量が多い患者さんには効果が弱まるので注意が必要です。
糖毒性 (とうどくせい)
血液中のブドウ糖の濃度が高くなる高血糖が続くことで生じる毒性のことです。ブドウ糖は細胞のエネルギー源となる大切な物質ですが、タンパク質を変質させる毒性を持っています。高血糖が続くと、さまざまな細胞のタンパク質にブドウ糖が結合して変質させ、膵臓(すいぞう)でもインスリンを分泌する細胞の働きが低下したりインスリンの効きが悪くなったりするなどの障害が起こります。
スルホニル尿素薬の薬は下記があります。
・アマリール(一般名:グリメピリド)
・オイグルコン/ダニオール(一般名:グリペンクラミド)
・グリミクロン/グリミクロンH(一般名:グリクラジド)
高用量のSU薬と併用している患者さんは、重症低血糖が起こる可能性があるので注意が必要です。
ですので、高齢者や腎機能障害患者も含めてSU薬の量の調節を考える必要がありますね。
後は、重症ケトーシス、高血糖性の昏睡または前昏睡、1型糖尿病患者、重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者、高度の腎機能障害患者または透析中の末期腎不全患者、妊娠・授乳婦、皮疹などDPP-4阻害薬の成分に対して過敏症の既往歴のある患者などは禁忌です。
DPP-4阻害薬は食事に影響を受けないので、食前でも食後でも服用は飲んで大丈夫です。
基本的には、1日1回の服用でDPP-4阻害率は80%を保ちます。
1週間に1回の薬でも阻害率は80%以上保ちますのでめんどくさい人には嬉しいですよね。
ただ飲み忘れに注意しないといけませんが・・・
飲み忘れたときは、1日1回どのタイミングでも大丈夫ですが、なるべく時間間隔を意識して服用を心がけます。あんまり時間間隔が近い時はスキップすることもあるようです。
血糖依存的にインスリン分泌を促すために、基本的に中止はしません。
でも、シックデイで食事量が半分以下になるようであれば中止したほうがいいです。
とくにSU薬を服用している患者さんには低血糖の可能性もあるので、無理に服用する必要はありません。
日本人に向いていると言われているDPP-4阻害薬について書いていきました。
あらためて、まとめると以下になります。
低血糖を起こしやすいのでその分血糖値の変動が大きいということが言えますから、血管系の障害を引き起こすリスクも高いことになります。
1日1回とか1週間に1回の服用でいいのは魅力的ですね。