GI療法はカリウムを下げるのが目的です。
早急な処置で選択されるその効果について解説していきます。
病棟で働きだすと高カリウム血症の患者さんを時々見ることがあります。
僕もそうなんですが最初のころ、GI療法についてまったく知らなかったものですから、GI療法は血糖値をコントロールするための治療法だとばかり思っていました。
僕と同じような間違いや勘違いを持っている方は意外と多いんではないかと思うので、GI療法について分かり易く解説していきます。
また、オススメ書籍も紹介していますので良かったらみてみて下さい。
では早速みていきましょう。
GI療法とは、グルコースとインシュリンのそれぞれ頭文字を取って「GI」と呼びます。
ブドウ糖(グルコース)は血糖値を上げる働きがあり、インシュリンは血糖値を下げる働きがあります。
ブドウ糖とインシュリンを同時に投与することによりカリウム値を下げるという効果があります。
なんか、ブドウ糖とかインスリンとかについて書かれているので、血糖コントロールについての治療法かと勘違いするところですが
まったくもって血糖値とは関係ありません。
ではなぜ紛らわしい話になっているかと言いますと、
ブドウ糖は細胞内に取り込まれるときに、カリウムも一緒に取り込まれるという特性を持っているからです。
この働きを利用して血漿中のカリウム値を下げようという考えがGI療法です。
勘違いされやすいのは、「GI」てグルコース・インシュリンついてるから血糖コントロールのために行われる治療なんじゃないの?
と、受け取ってしまうために誤解が生じて名前の印象から勘違いが生じてしまうのだと思います。
私は最初そう思っていましたので勘違いしないように調べるって大事ってことがわかりました。
つまり、「GI療法」とは、高カリウム血症を下げるための治療です。
まあ、GI療法をすると言われたら、カリウムが高くてちょっと早めにカリウムを下げないと命に関わってくるかもと考えた方がいい。
その理由は、血液中のカリウム値は一定に保たれているんですが、カリウムが高くなってくると不整脈などの合併症を引き起こすことがよく臨床ではみられるのが分かっているからですね。
つまり、高カリウム血症は放っておくと危険ということを理解する必要があります。
ただ、早くカリウムを下げるのが目的ではあるけど、GI療法はカリウムを一時的に細胞内に移動させて下げているだけの救急処置でしかないんですね。
つまり、血液データ上カリウム値が下がったとしても安心できるわけではなくて、その後、カリウムを体内から外に出すという適切な治療方法が必要になってきます。
カリウムを外に出す方法おしっこからです。
ほとんどが尿から排出されます。
患者さんの全身状態からカリウムを外に出す方法をチョイスしていくんですが、方法は色々あります。
レジンとは樹脂のことでカリウムを樹脂(レンジ)に吸着させて出すということですね。
カリメートを注射器で肛門から挿肛して便を排出させる方法です。
腸管内に1時間ほどカリメートを放置することで、カリウムを便と一緒にださせる効果がある。
アーガメイトゼリーを食事などに提供して捕食として摂取してもらいます。
腸管内の過剰となったカリウムを体外に排泄する働きがある。
透析療法によって血液のカリウム濃度を調整する。
というのがおおまかな流れになりますね。
高カリウム血症濃度の基準値は分かりやすく言うと5mEq/Lを超えないというのを押さえておけばいいと思います。
ただカリウム値が6.5mEq/Lを超えてくると致死的不整脈が出現するリスクが高くなるので注意が必要です。
おそらくその前にモニター心電図でモニタリングすると思うので異常波形に注意しておくことです。
カリウム値が7mEq/L超えても不整脈が出現しない患者もいます。
症状は不整脈・嘔気・嘔吐・しびれなどですが、とくに不整脈には要注意です。
あと、倦怠感、食欲減退、筋力低下、多尿の訴えがある時は高カリウム血症かもしれない?
って疑ってみるとか。
でもこのような症状は、カリウムが下がっても起こります。
いろんな病気で起こりうる症状なのでなかなか気付くのが難しいところではあります。
高齢者ならなおさらなんです。
また、高カリウム血症は、よく血液検査から見つかるケースが多いので血液データの過去からの推移とかでチェックしとくのも損はないかと思います。
病棟患者さんでは、よくカリウムが上がるとか下がるとか結構頻繁に遭遇する症例です。
GI療法だ!ってなった時は参考までに思いだしてみて下さい。
以上、「GI療法はカリウム値を下げるための治療法【分かり易く解説します】」でした。