手術をする際、血糖値の管理は一定の決まりというか推奨されている「目安」があります。
ガイドラインのようなものですね。
そもそも血糖コントロールをすることで、術中・術後の回復を促す効果がわかっているんですね。
具体的にいうと血糖値の変動を抑えるということになります。
感染予防や腎障害の予防に効果的です。
なので・・・
この記事では、以下のような疑問に分かりやすく解説してみますね。
1.糖尿病の人が手術する時の問題点は何?
2.手術をする時の血糖値はどれぐらいを目標にすれば良いの?
3.低血糖の目安の値と低血糖になった時の対処法が知りたい。
合わせてオススメ書籍も紹介してますので、良かったらみてみて下さい!」
それでは、みていきますね。
目次
手術をする時のリスクとして血糖値に関することは、ある程度知っておくと安心感が違います。
血糖値に振り回されなくなるからですね。
血糖値が高いとどんなリスクがあるかというと「感染」ですね。
あと「腎障害」です。
感染に関しては、手術後の感染率が1.5〜2倍に爆上げします。
傷の治りが遅くなるのと、抵抗力が下がるってことがわかってるからです。
余談ですけど、糖尿病患者数は高血圧に次いで多いんだそうで、手術患者総数の15〜20%を占めるようです。
5症例に1症例が糖尿病患者になる確率ですね。
腎障害は、AKIと言って急性腎障害のことなんですけど、カンタンに説明してみますね。
つまり、血糖値が高かったり長いこと糖尿病の人は、尿量が極端に少なくなって腎臓の機能が急に悪くなることがまれに起こるんですけど、手術の影響と重なって合併症を起こします。
もっというと、「腎臓への血流が極端に少なくなっておこる腎不全」のこと
です。
手術の血糖値に関するリスクをまとめると
上記に注意ですね。
じゃあ、どれくらいの血糖コントロールがいいか解説してみますね。
まずは、手術前の目安です。
です。
手術の内容にもよりますけど、というかドクターの考え方によりけりですね。
たぶん患者の全身状態とか、そのほかの基礎疾患が大いにリスクを左右しますんで。
場合によっては、シビアに血糖値を設定するケースはあります。
結論はドクター次第ってことです。
でも、考え方としてはキホン血糖値はしっかりコントロールして手術をする。
です。
上記に挙げた合併症以外にも血糖を良好にコントロールする理由があって
いちばんの問題は、「患者自身のコンプライアンスをいかに高めるか」
です。
どういうことかというと、糖尿病の人で多くの人は自尊心が低い傾向にあります。
あくまでも、僕の肌感覚なんですけど
病棟で出会う患者さんたちは以下のようなタイプの人が多いです。
例えば
「カンタンに考えていて今がよければそれでいいと思っている」 「自己中心的な考えを持っていて、周囲の心配を気にしない人が多い」 |
つまり、自分勝手な人が非常に多い印象があるんですね。(もちろん全員ではないよ〜)
コンプライアンスが低いので、血糖値が安定しないとかすぐに治療がなあなあになるんで、しっかり教育できるかにかかってくるんですね。
ちなみに、コンプライアンスとは以下のように患者が自主的に行動することですね。
「アドヒアランス(adherence)」とは、「固守」、「執着」という意味の名詞です。 医療現場 では「患者が治療方針の決定に賛同し積極的に治療を受ける」ことを意味します。 同じ様な意味を持つ単語として「コンプライアンス(compliance)」があります。
参考文献元:https://www.jga.gr.jp/library/pdf/jga-news/116/JGA-NEWS116-08.pdf
さて、手術後の血糖値はどれぐらいがいいかというと
180mg/dl以下を目標に血糖コントロールをしていくことになります。
外科手術の場合の術後血糖コントロールは、内服は中止してインスリンで対応することが基本です。
しばらく飲めないからですね。
病棟であればスライディングスケールを用いて血糖を管理していくことになりますね。
スライディングスケール一例
参考資料引用元:https://tsunepi.hatenablog.com/entry/2016/06/07/003000
上記のようなスケール表が個別に指示されます。
例えば
食直前の血糖測定値が200㎎/dlを超えていたら、インスリンを2単位食事前に皮下注射していくって感じですね。
範囲内であれば、そのまま何もしません。
スライディングスケールは、1日3~4回の血糖測定時に血糖値に応じて速効型インスリンを皮下注射して血糖を下げるっていう方法です。
つまり、血糖の変動を少なくして血管系の合併症を予防しようっいう考えですね。
高血圧の記事でも書きましたけど、血糖値の変動も体にはよろしくないわけです。
手術後の患者さんに対してはスライディングスケールで対応するので問題ないんですけど
手術関係なく入院生活を送っている人に対して、低血糖が起こっていた時の対処法についてちょっと解説してみますね。
知っているという人は飛ばしてくださ〜い。
ふつうは50mg/dl以下にまで下がると、症状が現れるといいます。
ただし、個人差がめっちゃあるので「症状ありき」で考えると危ないです。
たとえばこんなことがありました。
意識障害が起きてもおかしくないのにしっかりしている。
中には無症状や自覚が乏しかったりするので注意が必要ですね。
そっこうでグルコース10gを与えましょう。
低血糖症状は空腹感・発汗・不安感・動悸・振戦がおもな症状です。
40mg/dlで意識障害
30mg/dlで痙攣・脳障害
10mg/dlで死亡する
となりますので、50mg/dl以下だと結構ヒヤヒヤして下さい。
で、目安は70mg/dlを下がってきてたら低血糖と判断して対応していった方が安心です。
低血糖は、「放っておくと死んじゃう」と考えましょうね。
低血糖時の対応は2パターンあります。
分かりやすく解説してみますね。
低血糖でよく頭をよぎるのが、医師への指示受けなんですが
早急にした方がいい治療なのに指示がない時ってよくあります。
低血糖の緊急なら、さっさとブドウ糖を投与していいと思います。
つまり、報告は事後報告でOKです。
さっきもお伝えしましたが、低血糖は死んじゃうので。
夜勤とかスタッフがいない時の低血糖は遠慮はいらんですね。
投与したら15~30分後に血糖測定します。(必ずルーチンで行ってくださいね)
それでも低血糖が持続するなら点滴で5%~10%ブドウ糖液を開始する。(医師に指示をもらいましょう)
この場合30分おきに血糖測定して100~200mg/dlをキープする。
意識があって経口摂取できる場合は、とりあえず飴を舐めてもらう方法もあるけど、飴の種類によっては吸収が遅いやつもある。
たとえば
なんかが吸収が早いですよ。
参考までに
グルコレスキュー1包で20mg/dlぜん後の上昇ですね。 |
あとは、糖尿病患者の中には低血糖を経験してる患者さんもいます。
なので、手術前にそういった経験があるかを聞いておくのも1つの手です。
患者さんによっては事前に飴などを持参してる人もいるので、聞いとくと良いですね。
手術に関する血糖値のコントロールが重要ですよ〜ってことでした。
低血糖になったら迷わず治療して下さい。
では、あらためて手術時の血糖値に関する考え方などまとめておきますね。
最後まで読んでいただきありがとうございます
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