褥瘡(じょくそう)予防に欠かせないマットレスはどうやって選ぶの?
入院してくる患者さんには、自分で寝返りが出来ない人もいますよね?
そのままにしておくと褥瘡を作ってしまうってことになります。
人は寝てる時に、自分で寝返りをうって褥瘡が出来ないように体を調整しているもんです。
自分で出来ないとなると、誰かに体位を変換してもらうか除圧をしなければいけません。
体圧などの除圧に有効なマットレスも患者さんのADLの状態で使い分ける必要があります。
今回は、褥瘡(じょくそう)の予防に欠かせないマットレスについて特徴と、どういった患者さんに使うべきかの優先順位について書いていきます。
また、参考書籍も紹介してますので良かったらみてみて下さい。
では行ってみましょう!
褥瘡予防にはマットレスが重要
褥瘡(じょくそう)を予防するためにさまざまなマットレスがありますが、マットレスは体の圧迫やズレ、摩擦を軽減し体圧分散の効果を目的に選択されます。
マットレスの優先順位を間違うと、一瞬にして褥瘡を発生させてしまうので、特徴をおさえておきたいところです。
褥瘡の予防のマットレスは各病院でちがうと思いますが、さほど差はないと思いますので当院で使用しているマットレスを中心にその特徴をのべていきます。
褥瘡(じょくそう)のことを考えてマットレスを選択する。
マットレスの特徴と優先順位の決め方
「褥瘡(じょくそう)を持っている、もしくは褥瘡(じょくそう)発生のリスクが高いぞ!」って患者さんには以下の順でマットレスを選択していきます。
- エアマット
- ストレッチグライド
- アクアフロート
- マキシフロート
- エバーフィット
- コンファ
の順で優先順位を決めます。
褥瘡(じょくそう)のことを考えたマットレスの特徴
以下に、褥瘡リスク予防の高い順からマットレスを紹介していきます。
【①エアマット】
高額なためリースとレンタルがあります。
いいやつだと20万から30万円もしたりしますね。
とりあえずマットレスの王様なので、褥瘡がすでに発生している患者さんか寝返りをしない人には、第一選択です。
【②ストレッチグライド】
このマットレスは「ベッド全体」の体圧の分散効果に優れています。
MRAS(メチシリン黄色ブドウ球菌)対策だけじゃなく、通気性が良いので真菌などの増殖を予防する効果もあります。
背上げに伴う身体のズレを軽減する効果もあります。
端座位・ヘッドアップ時の体位保持が容易で安定しやすいのが特徴です。
このあたりから寝返りが出来ない人に使用するかどうかを決める時の境い目になりますね。
寝返りが出来ない人には、もっといいマットレスを使いたいけど在庫の関係で一時的に使っておいてもいいとされているマットレスですね。
ただし、除圧を定期的におこなう必要があり、体交枕が必需品になります。
【③アクアフロート】
ウレタンフォームに加えて、中心部にアクアセルを内蔵している。
ベッドで上体を起こしたときの臀部の体圧分散効果に優れています。
上半身・臀部・仙骨部・踵部の体圧軽減に優れているのが特徴。
ベッド中央部以外は、端座位保持が安定するように調整がしてある。
マキシフロートと比較すると、やや寝返りしやすい。
褥瘡のリスクを軽減させ、褥瘡を持っている人に優先的に使われるマットレスですね。
高額なので、数が少なく重宝されます。
【④マキシフロート】
褥瘡予防に有効な、ウレタンフォームを利用した体圧の分散効果が優れたマットレスになります。
体圧の分散効果が優れているうえに、端座位保持も安定してできるすぐれもの。
ベッド中央部はソフトなため、寝返りが行いにくいのがデメリット。
MRSA(メチシリン黄色ブドウ球菌)の増殖抑制効果もある。
寝返りできない人や褥瘡がある人に第一選択として使っていいマットレスではあります。
ただし、除圧は必要になりますので体交を管理していく必要があります。
【⑤エバーフィット】
リバーシブルでハード面とソフト面があります。
基本的にはソフト面を使います。
寝返りはかんたんにできて寝心地もいいですが、体圧の分散効果はやや低いのが難点。
端座位は安定しやすく消臭効果にも優れています。
MRSA(メチシリン黄色ブドウ球菌)対策だけでなく、通気性が良いため真菌などの増殖予防効果もあります。
寝返りが出来きる人に使いますので、日中ベッドに寝ている人には積極的に起きてもらい、離床をすすめた方がいい人向けですね。
【⑥コンファ】
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の増殖を抑制する効果があるのが特徴です。
ADLの自立した人向けですね。
褥瘡(じょくそう)のリスクのない方に使うスタンダードなマットレスです。
寝返りの出来ない人や、すでに褥瘡がある人には使わないのでもし、見つけたら早くマットレスを交換したほうがいいです。
以上マットレスの特徴を解説しました。
①〜④までは褥瘡予防に選択可能なマットレスかなと判断できるのかなと思いますが、⑤、⑥は避けるべきマットレスですね。
まとめ
褥瘡(じょくそう)予防のためには、マットレスのことも考えて患者さんに適したものを選択していくことが大事になってきます。
褥瘡予防に有効なマットレスは1〜4まで
- エアマット
- ストレッチグライド
- アクアフロート
- マキシフロート
- エバーフィット
- コンファ
褥瘡が出来にくい順ででならべるとこうなります。
マットレスの選択を疎かにしてしまうと、いつの間にか褥瘡ができてしまって、家族との信頼関係にも悪い影響を与えることになります。
そればかりでなく患者さん自身の入院生活の質の低下につながります。
院内発生での褥瘡は、治療や管理、入院期間の延長などの医療コストもかかってきます。
手間もかかって忙しいうえにさらに労力と時間をかけなければいけなくなります。
マットレスの特徴を押さえて優先順位を決めれば大丈夫、ということではありませんが少しでも理解して参考にして頂ければうれしいです。
最後まで読んでくださいましてありがとうございました。
コメント