野球肘の遊離体摘出から関節形成術に移行した手術症例

Pocket

Baseball elbow

離断性骨軟骨炎からの遊離体摘出で関節形成術に移行した手術症例を振り返ってみた

今回は、整形外科領域の手術症例について興味深い症例があったのでそのことについてご紹介していこうと思います。

野球肘の患者さんで肘関節遊離体除去術から肘関節形成術に移行した症例についてです。

もともと、中学生のころ野球肘を持っていた患者さんで現在25歳の成人の男性。

当時野球少年だった彼は、肘の痛みを自覚はしていたものの、野球が好きだったので我慢しながら肘の痛みをだましながら大好きな野球の練習に取り組んでいたそうです。

ですが、余りにも痛みが取れず慢性的になっていたのに加え肘の曲げ伸ばしが少しずつ悪くなってきたのだそうです。

止むなく彼は整形外科に受診しそのまま検査を受けましたが、診断されたのが「離断性骨軟骨炎」という病気で、すぐに手術したほうがいいと医師から告げられ手術を受けることとなったのです。

離断性骨軟骨炎とはどんな病気?

離断性骨軟骨炎とは、野球少年に多く発症するいわゆる野球肘の重症化してしまった病気で、子供の骨は大人と違って軟骨が多く骨との接着が未熟なんですね、野球で行う投球やバットの素振りで過度の負担が肘にかかってしまうと骨から軟骨が剥がれてしまい分離してしまうっていうのが離断性骨軟骨炎です。

野球肘とも言って、よくあるのは肘の一部の軟骨が剥がれてそのまま成長とともに固まって関節の中に分離した軟骨が見られます。たまにそこから炎症を起こしたり痛みを伴ったりするんですけど、大人になって関節鼠と言って摘出術を行ったりもします。

今回の症例は子供のころに発症した離断性骨軟骨炎の進行が早くて一度手術をしていましたが、一部剥がれた軟骨が大人になて痛みを出して悪さをし始めていたのがきっかけで受診されたんでしょうね。

離断性骨軟骨炎の厄介なところは、野球をやっている限りどんどん進行してしまうということです。なので進行が早くて発見が遅れると手術も出来ないほど軟骨が剥がれてボロボロになってしまいます。

そうなると野球は出来なくなってしまいます。もしくはスイッチングと言って利き腕でない方の腕で野球を続けなければいけなくなります。

いうのは簡単でしょうが、子供のメンタルで受ける衝撃は計り知れないでしょうね。

でも、それしか好きな野球を続けるのは出来ないからはぐらかさずに伝えるべきだと強く感じますね。

手術内容は剥離部分を人工骨で固定するという手術が行われますがその少年だった彼も固定術を行っています。

あれから10年が経ちましたが、一部の肘関節内に遊離した軟骨が形成され遊離体となって関節の可動域を制限していました。

つまり、関節鼠ってやつが悪さをしている状態ですね。

その頃から痛みを自覚し始め今回遊離体摘出術の手術をすることとなりました。

麻酔方法

  • キシロカイン1%を上腕部橈骨神経ブロックと局所麻酔を組み合わせて行っています。

遊離体摘出から関節形成術の術式は?

Surgical operation皮切は肘部外側を約8㎝行い、皮下組織や滑膜を剥離していく。

腕橈骨関節を確認し遊離体をリュールにて除去していく。(大小合わせて5個)

一部変形している箇所があったためそれらも除去していく。

関節面を滑らかにするため骨やすりで面を調整し、凹凸をなくしていく。

関節面を整えたら、ミニドライバーで上腕骨小頭部にドリリング(簡単に言うと関節面に小さい穴を空けること)を行う。(指骨ピン1.0mm)関節内を生食500mlで洗浄し、滑膜縫合と皮下縫合する。

ペンローズドレーン(血腫貯留予防のため)を挿入し排液する。

皮膚縫合(ナイロン5-0)して終了となる。

ギプス固定を上腕からMP関節まで当てて三角巾で吊る。(ギプス固定期間は4週間が目安です)

抜糸は10日後が目安です。ギプス固定は週一回レントゲンで骨の骨癒合を確認しながら、ギプスを徐々にカットしていきます。(シーネ固定にまで持っていきます。)

その後晴れてギプスが取れたら徐々にリハビリ訓練を行って可動域を拡大していく。なるべくリハビリに持っていきたいので早めに働きかけます。

リハビリ以外の日常生活ではまだシーネ固定を再固定しながらっていう移行期間も設けます。

まとめ

今回離断性骨軟骨炎からの遊離体摘出術適応となりそのまま関節形成術に移行した手術症例について書いていきました。

なるべく簡単に書いたので手術自体簡単そうにイメージされるかもしれませんが実際はとても難易度の高い手術です。

普通なら全身麻酔で行われるレベルの侵襲と時間がかかりますので、これを腋窩神経ブロックと局麻のみを組み合わせてするのは熟練した技術がないと患者さんにとってハイリスクなのです。

まあ、患者んも若いですし健康な方だったので何も問題なく終了しました。

改めて感じましたが、やっぱり経験と知識を積み重ねることで成長し続けることが出来るんだなあと思いましたね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です