医療は日進月歩に進化していっていますが、中には全く昔と変わらないことが沢山ありますよね。
今回は消化器外科では比較的見られる「PTCD・PTGBD」について書いていきます。
また、オススメ書籍も紹介していますので、良かったらみてみて下さい。
では、みていきましょう。
PTCDってなに?
PTCDとは、経皮経肝胆管ドレナージのことです。
腫瘍や結石で総胆管や総肝管が詰まることで起こる黄疸や胆管の治療で行われます。
今は内視鏡での治療が主流になってきているので、PTCDの頻度は減っています。
PTGBDってなに?
「ピーティージビージー」って読みますが申し送りの時は特に舌を噛みそうになりますよね。
経皮経肝胆のうドレナージのことです。
腫瘍や結石が原因で詰まっって起こる胆のう炎の治療に行われます。
PTGBDはエコーを見ながら胆のう内にドレーンを穿刺し留置することによって胆のう液を体外に排泄させる治療です。
PTCDの穿刺ルートは皮膚→肝臓→胆管
PTGBDの穿刺ルートは皮膚→肝臓→胆のう
皮膚から肝臓を経由して穿刺するのには理由があってですね、穿刺部位から胆汁が漏れると腹腔内に直接広がっていって感染症の原因になるからです。
PTGBDの穿刺手順
PTGBDの穿刺手順について簡単に説明します。
1.エコーで穿刺する胆のうの位置を決めます。
2.消毒してドレープで清潔区域を作ります
3.再度エコーで位置を確認し局所麻酔をして穿刺します。
4.仮穿刺をして本穿刺で胆のうを穿刺します。
5.胆のう内にドレーンを留置して皮膚に固定します。
PTGBD留置時の注意点は?
抗血栓薬の確認・・・PTGBDを行うときは事前に血栓薬は休薬します。
絶食・・・穿刺前は絶食とし、飲水は可です。
PTGBD後の合併症は?
主な合併症は、ドレーン逸脱・出血・腹膜炎・気胸・血胸があります。
- ドレーンの逸脱・・・胆のうに留置されドレーンが腹部の皮膚から固定してるため呼吸によって徐々に抜けてくるということですね。観察としては、挿入されているドレーンの長さの確認。挿入日は翌日朝まではベッド上安静が基本。万が一抜けた場合は腹膜炎を起こすので、瘻孔が閉塞しないうちに対応が必要になってくる。
- 出血・・・出血は排液の性状で確認します。出血場所は胆道か腹腔内からがあって、胆道は門脈・動脈・静脈の損傷が原因です。血性の排液が多くなければ胆管洗浄か太めのドレーンに交換して止血します。出血量が多ければ、塞栓術(TAE)をします。腹腔内の出血はドレーンには排出されないので確認方法として、血圧の変化や頻脈・急な腹部膨満を観察して判断します。
- 胆汁性腹膜炎・・・ドレーン逸脱か胆汁の腹腔内の漏れによって起こります。観察として腹痛の確認です。腹膜炎症状には注意します。
- 気胸・血胸・・・穿刺時に肺を傷つけると起こります。呼吸音の左右差・SPO2の低下呼吸状態に注意観察していきます。翌日にレントゲンで異常がないかチェックします。
まとめ
PTCD・PTGBD留置はあくまでも一時的な処置ですので最終的には胆のうの摘出術をしたりします。
腹痛や黄疸・感染などの症状緩和に行われますが、その間根本治療がPTCDやPTGBDをすることによって延びることにはなるんですよね。
つまり、一度症状緩和にPTGBDを留置すると瘻孔が完成されるので、7~10日間を含む留置期間は抜去できないということになります。
腹部にチューブが繋がれた状態での入院生活を送ることになるので、筋力の低下や栄養状態の低下など、ADLも低下していくことが考えられますので、事前の患者さんへの理解と説明を十分に行い想定できる患者さんの苦痛の緩和や異常の早期発見が出来るようにしなければいけないですね。
コメント