【イラストあり】大腸ポリープ検査の切除方法と消化器治療のまとめ

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hip 消化器系の看護

ポリペク検査はEMR,ESDといったポリープ切除方法がある。知っておきたい内容はこれ!

この記事では、以下の心配や悩みについて分かりやすく解説して答えていきます。

近々ポリペクトミー検査入院の予定があって、不安を感じている方、ポリペクってどんな検査内容なのかが知りたい。また、検査後に注意しなければいけない症状は何があるのかが知りたい。

当院でもポリペクトミー(通称ポリペク)で検査入院される患者さんがおられるのですが、基本的に短期入院のためそのほとんどの患者さんがトラブルなく退院されていきます。

中には悪性だったりすることもあるので、その後の治療や方向性を考えなければいけない方もいます。

この記事を書いている私は、今病棟で看護師をしています。2年目の経験しかありませんが、看護師歴で言うと、16年位の実務経験はありますので経験をとおした情報を心掛けています。

良かったら、参考にして頂けると嬉しいです。

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ポリープが腺腫であれば将来的に癌化する可能性がある。

ポリペクとは、内視鏡的ポリープ切除のことでして大腸検査したらポリープがあって将来癌化してしまう可能性がある時にポリペクが行われます。

基本的に良性で有茎性の小さい腺腫に行われるのがポリペク。

ただ腺腫ってのが問題で、腺腫は将来癌化してくる可能性があるからです。

今は良性でも将来的に癌化するかもなので今のうちに取っておきましょうってのが目的。

例えば、大腸カメラをしたときにポリープがあって、一部生検して検査しますよね。

その時に「ちょっと大きいね」とか悪性が疑われる腺腫ポリープがあった時に、改めて検査入院で取る手術がポリペクトミー入院となります。

ポリペク自体はワイヤーでくくってとる簡単な切除方法

ポリペク自体はワイヤーでくくってとる簡単な切除方法なんですが、ポリープの形状や大きさによっては別の切除方法が選択されます。

ポリペク以外に2種類の切除方法があります。

  1. EMR:内視鏡的粘膜切除術 生食でヒョコっと出してポリープのみを切除する方法
  2. ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術 ポリープが2㎝以上で粘膜下層に及んでいるもので広範囲に渡り切除する必要がある方法。

どちらも病変が平坦で、すなおにワイヤーでは取れないものに対して行われます。

方法としては生食を下層に注入して平坦な病変を盛り上げてワイヤーで取るか、焼き切るかになります。

ポリペク検査前の管理について

ポリペクをする前に事前に行わなければいけない準備があります。

  • ポリペク、EMR,ESDは出血の危険が高い検査になるので抗血栓薬は休薬する。
  • 前日の21時以降は絶食。飲水は制限ないですが牛乳やアルコール、ジュースなど固形が含まれるような飲み物は中止します。
  • 腸管内の様子がよく見えるように前日に下剤を飲んでもらい、当日は朝からニフレックスを2L飲んで腸管内の洗浄をします。場合によっては浣腸もします。
  • 当院では検査1時間前からルートをとります。鎮静、鎮痛、鎮痙薬を使うため。
  • 大腸が動くのを抑制するためにブスコパンを使います。禁忌として前立腺肥大、緑内障、不整脈、心不全がある患者さんには避けます。
  • ブスコパンが使えない人は、グルカゴンがチョイスされます。

ポリペク検査後の合併症

  • 多いのは穿孔と出血です。
  • 穿孔発生率は、ポリペク=0.05%、EMR=0.58~0.8%、ESD=2~14%
  • 出血発生率は、ポリペク=1.6%
  • EMR=1.1~1.7%
  • ESD=0.7~2.2%。頻回な血便やHb=2㎎/dl以上の低下があったら出血と判断する。

ポリペク検査の退院後の注意点は腹痛と血便です。

  • 穿孔は検査後24時間以内が多いが、24時間以降にも起こることがありこれを遅発性穿孔と言います。ESD =0.1~0.4%と低いですが帰ってからの腹痛は注意が必要。
  • 出血は3日以内が多いけど、7日以降に起こすこともありEMR=1.4~1.7%、ESD=1.5~2.8%の報告がある。血便に注意です。

消化器外科のPTCD・PTGBDに必要なこととは?

次は、消化器外科では比較的見られるPTCD・PTGBDについて書いていきます。

PTCDは総胆管や総肝管の治療

PTCDとは経皮経肝胆管ドレナージのことです。

腫瘍や結石で総胆管や総肝管が詰まることで起こる黄疸や胆管の治療で行われます。

今は内視鏡での治療が主流でPTCDの頻度は減っています。

PTGBDは胆のう炎の治療

PTGBDとは経皮経肝胆のうドレナージのことです。

腫瘍や結石が原因で詰まっって起こる胆のう炎の治療に行われます。

PTGBDはエコーを見ながら胆のう内にドレーンを穿刺し留置することによって胆のう液を体外に排泄させる治療です。

PTCDの穿刺ルートは皮膚→肝臓→胆管

PTGBDの穿刺ルートは皮膚→肝臓→胆のう

皮膚から肝臓を経由して穿刺するのには理由があって、穿刺部位から胆汁が漏れると腹腔内に直接広がっていくからです。

 

PTGBDの穿刺手順

1.エコーで穿刺する胆のうの位置を決めます。

2.消毒してドレープで清潔区域を作ります

3.再度エコーで位置を確認し局所麻酔をして穿刺します。

4.仮穿刺をして本穿刺で胆のうを穿刺します。

5.胆のう内にドレーンを留置して皮膚に固定します。

PTGBD留置時の注意点は?

抗血栓薬の確認・・・PTGBDを行うときは事前に血栓薬は休薬します。

絶食・・・穿刺前は絶食とし、飲水は可です。

PTGBD後の合併症は?

PTGBE後の主な合併症は、ドレーン逸脱・出血・腹膜炎・気胸・血胸があります。

ドレーンの逸脱・・・胆のうに留置されドレーンが腹部の皮膚から固定してるため呼吸によって徐々に抜けてくるということですね。

観察としては、挿入されているドレーンの長さの確認をします。

挿入日は翌日朝まではベッド上安静が基本。

万が一抜けた場合は腹膜炎を起こすので、瘻孔が閉塞しないうちに対応が必要になってきます。

出血・・・出血は排液の性状で確認します。

出血場所は胆道か腹腔内からがあって、胆道は門脈・動脈・静脈の損傷が原因です。

血性の排液が多くなければ胆管洗浄か太めのドレーンに交換して止血します。出血量が多ければ、塞栓術(TAE)をします。

腹腔内の出血はドレーンには排出されないので確認方法として、血圧の変化や頻脈・急な腹部膨満を観察して判断します。

胆汁性腹膜炎・・・ドレーン逸脱か胆汁の腹腔内の漏れによって起こります。

観察として腹痛の確認です。腹膜炎症状には注意します。

気胸・血胸・・・穿刺時に肺を傷つけると起こります。

呼吸音の左右差・SPO2の低下呼吸状態に注意観察していきます。

翌日にレントゲンで異常がないかチェックします。

 

まとめ

PTCD・PTGBD留置はあくまでも一時的な処置ですので最終的には胆のうの摘出術をしたりします。

腹痛や黄疸・感染などの症状緩和に行われますが、その間根本治療が延びることになります。

つまり、一度症状緩和にPTGBDを留置すると瘻孔が完成される7~10日間を含む期間は抜去できないということになります。

腹部にチューブが繋がれた状態での入院生活を送ることになるのでADLも低下していくことが考えられます。

患者さんへの理解と説明が出来るようにしなければいけないです。

また、ポリペク、EMR、ESDについて概要と検査後の合併症や注意点について書いていきましたが、患者さんへの十分な説明が必要です。

私は病棟に来てポリペクとか知りました。恥ずかしい話ですが、それまで全く知りませんでした。

患者さんの不安に対して安心できるような声かけや検査の内容などが聞かれたら答えられるようにしておきたいです。

以上、「大腸ポリープ検査で知っておくべき切除方法と消化器治療のまとめ」でした。

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