失行と失認の違いは「行動が出来なくなる」か「理解が出来なくなる」のか?
この記事では以下のような疑問に答えていきます。
- 失認と失行の症状の違いが知りたい
- 失認と失行は何がそれぞれ出来ないのか分かり易く解説してほしい
- 失認の4つの種類が知りたい
以上の疑問に答えていきます。
認知機能症状の失行・失認について分かりやすく解説していきますので、参考にして頂けたら嬉しいです。
目次
失行と失認は似ているようで似ていない
失行とは、学習して身につけた動作をうまく行えなくなる認知機能症状の一つです。
また、別の症状として「失認」があります。
失認とは「視覚・聴覚などの感覚器や感覚経路に障害がないのに、対象となるものがなんであるかが分からなくなる状態」のことを言います。
この二つは混同されやすく間違いやすいですね。
行動を失う病気か、認識を失う病気かで覚えるといいかもです。
「失行」とは普段出来ていた動作が出来なくなる行動障害
認知症が進んでくると、失行が出現することがあります。
失行とは、行動を失うこと(できなくなる)と書きましたね。
アルツハイマー型認知症などでは初期の段階から失行があらわれることはすごくまれで、仮に早期から失行の症状があらわれた場合は「大脳皮質基底核変性症」という病気が強く疑われます。
失行とは、日常的に行っていた習慣が出来なくなってきます。
例えば下記のようなことです。
「歯ブラシを持たせても磨こうとせずぼんやりしている」 「洋服を手渡しても着ようとしない」 「服は着たのにボタンを留めようとしない」 |
など動作が複雑になればなるほどうまく行えなくなってきます。
しかし、出きるできないには個人差があり、どんなことができなくなるかは人それぞれで片側の腕や脚、顔面、口、発語のいずれかに現れることが多いのが特徴です。
失行が現れやすい場所
- 片側の腕や脚
- 顔面
- 口
- 発語
失行は本人が協力的であることが前提ですので、症状としては運動障害や感覚障害、注意障害がないことがポイントになります。
レビー小体型認知症では特徴的な「失行」がみられる
レビー小体型認知症では、道具使用障害といって日常動作の中で道具を扱うことができなくなる症状が初期から見られます。
例えば、「電気ひげそりの使い方が分からない」「目覚まし時計のセットの仕方や時間が合わせられない」などがあります。
レビー小体型認知症のこのような道具使用障害を「観念運動失行」ともいいます。
またレビー小体型認知症では構成失行という症状がみられてきます。
構成失行とは、視覚や運動機能は問題ないのに空間を正しく認識してものを構成・合成することができなくなることを言います。
例えば下記のようなことです。
「同じような絵や図を模写できない」
「見本を見ても同じように作れない、出来ない」 |
とかの症状があり、テストとして立方体を書いてもらったりして構成失行かどうかを判断します。
「失認」は「失行」とは似て非なる症状なのでタイプ別に種類があります
失認は失行とは区別するようになっていまして、失行と失認の違いとしては理解力に問題があると言っていいです。
つまり、失行は「動作が出来ない」のに対して失認は「物事の理解が出来ない」とすると分かりやすいです。
失認には、視覚・視空間・触覚・聴覚の4つがあります。
分かりやすく示した表がありますのでそちらをご参照してください。
失認の種類 特徴 視覚の失認 見たものがなんなのかを理解できない 視空間の失認 物の位置や配置、距離などを正しく理解できない 触覚の認知 触れたものが何なのかを理解できない 聴覚の認知 聞いた音が何なのか理解できない 引用抜粋:一般病棟で役立つ!「はじめての認知症看護」より
失行と失認は認知機能症状なので症状改善はむずかしいですが、行動が出来ないのと物事が理解できないのと区別してあります。
失認と失行についてまとめると以下の通りです。まとめ
- 失行とは、学習して身につけた動作をうまく行えなくなります。
- 失認とは、視覚・聴覚などの感覚器や感覚経路に障害がないのに、対象となるものがなんであるかが分からなくなる状態のことを言います。
- 失行は「動作が出来ない」
- 失認は「物事の理解が出来ない」
- 失認には、視覚・視空間・触覚・聴覚の4つがあります。(表をご参照してください)
以上「失行と失認の症状は「行動が出来なくなる」か「理解が出来なくなる」か」でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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