更新日:2020-02-17
今回は、排痰法について書いていこと思います。
病棟患者さんにする医療行為で吸引があります。
気道や口腔内、鼻腔内に溜まった痰や異物を取り除く排痰法ですね。
吸引が必要な異物に関する記事で参考にしてもらいたい記事はコチラ⬇️
最初に吸引法のレクチャーを受けてから実践でどんどん慣れてくるものなんで、結構実技優先で知識や根拠は後回しになってる看護師の方は多いのではないでしょうか?
それもそのはず、慣れで何とかなるし感覚と経験で補えるもんなんです。
新人の頃は経験ありきでいいかもしれませんが、そのままにせずに振り返ってみましょう。
意外と深掘りすることで医学的根拠だったりが見えてくるのもがあるので勉強になりますよ。
吸引で押さえておきたいポイントをまとめてみます。
この記事を読んでわかる内容
- 吸引が必要かの看護的根拠がわかる
- 端を取らないとどうなるか?がわかる
- 痰を出す方法と種類がわかる
では、さっそくみてみましょう!
目次
吸引は看護の必要スキルのひとつ
患者さんにとって吸引は侵襲のある医療行為なので、闇雲にするべきではないです。
じゃあどうしたらいいかというと、適切な看護を通して吸引するかしなくていいかを判断はしなくてはいけません。
盲目的に時間的なルーチン感覚で行うと、痰がないのに吸引して患者さんを苦痛にさせるだけっていうことが大いにありうるからですね。
ムダな吸引は無気肺を悪化させることが分かっています。
つまり、ルーチン(時間感覚)でするのではなく必要時に吸引するっていう判断が出来ないといけません。
吸引する時に必要かどうかの看護のポイント2つ
- 気道に痰があって、痰を出さないと体に悪い影響が起こる時
- 自分で痰を出すことができない時
以上の2点で吸引が必要かどうかを判断します。
そもそも痰って何なのって話。
簡単に言うと、呼吸器の粘膜から産生される粘り気のある分泌物のことを言います。
成分は色んなタンパク質から成っていてその中に細菌や埃、粉塵などまたウイルスなんかも混じって出来ています。 |
混じっているものの中には、悪い病原菌なのが含まれると感染症を引き起こす原因になったりします。
なので検査に出して調べる必要があったり、スタンダードプリコーションの適応になったりするんですな。
つまり、痰が出るってことは菌とかそれ以外の何らかの異常分泌物が粘膜から出まくってる可能性があるってことです。
痰の性状をみんなで共有しましょうよってことで5種類で分類されています。
痰の性状5種類
① 粘液性痰 ② 膿性痰 ③ 漿液性痰 ④ 血性痰 ⑤ 泡沫性痰 |
の5種類です。
痰があるのに自分で出せないとどうなるのか?
痰があると咳をすることで容易に出すことができるのが普通です。
けど、それが出来なくなると吸引など何かしら排痰を援助していかないといけません。
理由はカンタン、窒息するからですね!
窒息に関する関連記事はコチラ⬇️
痰をそのままにしておくと徐々に溜まってしまうのはもちろんですが、痰自体乾燥してしまって硬くなってきます。
そうなると吸引しても取るのが難しくなってくることを念頭に入れといたほうがいいです。
硬くなった痰は「うがいをしても飲水しても加湿器を焚いても柔らかくならない」ことが分かってます。
ですので硬くなる前に吸引して取るか、硬くなる前に対応していくのが正しい考え方です。
しかし、硬くなってしまった後に看護観察でわかることがほとんどなのです。
唯一効果的な方法は、薬剤による吸入です。
痰を出すにはどんな看護と方法があるの?
人の体はいくら年をとっても痰があるとそれを異物とみなして体外に出そうという反応をします。
なので、徐々に痰は口から出ようと移動していくんですが、それを助ける働きが下記の3つ
- 重力
- 痰の粘性
- 空気の量と速度
の3つになります。
この3つの評価が出来るようになれば、自力で痰を出せるのかどうかが分かってくるんですね。
つまり、自分で痰が出しにくい患者さんの場合はこの3つの働きをうまく利用できるように環境を整えたり、ひと工夫意識する看護が効果があるということです。
- 重力は、体位変換をして痰を動かすということ。
- 痰の性状は、痰が動きやすい性状になるように固くなる前に、加湿器や水分補給など補液を与えるということ。
- 空気の量と速度は、咳嗽の程度の評価です。どれくらいの勢いで咳嗽が出来るかで痰が出せそうか判断します。ただし、体力を消耗してしまいそうな咳嗽や痰とは関係ない咳嗽をするようだったら鎮咳薬などの選択も考慮してあげるべきです。
なぜかというと咳嗽は、続くと疲労に繋がり体力をすごく奪ってしまいます。
止められない咳嗽は不眠になったり患者さんにとって苦痛でしかない為です。
咳嗽が出来そうにない、または援助が必要と判断した場合は吸引して看護援助してあげます。
痰による弊害は何があるのか?
痰が貯留すると色んな弊害が起こると少し書いてきましたが、具体的に何が起こるかここで押さえておきますね。
痰貯留の弊害
- 無気肺・肺炎
無気肺はアテレクってよく言いますが、痰が気管支を閉鎖してそれ以下末梢の肺に空気が行かなくなるとガス交換が行われなくなって無気肺が起こります。
つまり、肺胞が虚脱して肺が機能しなくなること。
そうなると貯留してる痰がそこに留まっってしまうのでそこから細菌感染が起きて肺炎に発展してしまう結果になるんですね。
- 窒息
これは容易に考え付くと思われますが、痰の分泌が多くなり粘稠度が増すと気道に詰まって窒息を起こします。
- ガス交換障害
無気肺の状態になると空気が行き渡りにくくなるので、ガス交換の効率が悪くなります。
そうすると呼吸困難や息切れSPO₂の低下が起こり呼吸状態の悪化や、疾患の悪化などが生じる。
- 気道抵抗の異常
痰が気道に貯留すると気道が狭くなり気道内圧が上昇します。
気道内圧が上昇すると何が起こるかというと分かりにくい表現ですが、持続的な圧迫のために組織への負担から気道や肺への損傷を引き起こす可能性があるということです。
- 肺感染
痰の成分には血液からの細菌やウイルスが混入するため、気道に長く貯留すると肺膿瘍などの肺感染のリスクが高くなるんです。
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まとめ
吸引は日常茶飯事で行われる侵襲の強い医療行為です。
そのため吸引して患者さんに及ぼす影響を考え評価してあげたうえで吸引が必要かを看護で判断していきましょうという話でした。
僕も実際に吸引しても痰が思うように取れなかったりゴロゴロ言ってるのになんでだろうということが多々あります。
そんな時は重力・痰の硬さ・咳嗽の性状を評価基準に吸引していこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも参考にしてもらえるとうれしいです。
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