更新日:2020-02-28
術後1日目って観察することが多くて難しい印象がありますよね。
例えば、
痛みの程度はどうか?体調はどうか?離床は出来そうか?食欲はどうか?VSに著変はないか?お通じはどうか?腹部症状はないか?おしっこの出はどうか?精神的な負担はないか?心配事はないか?家族は来るのか?呼吸器症状はないか?痺れはないか? |
術式によりますけど、観察項目は数えだすとキリがないぐらいですね。
しかも、的を絞って行かないと時間がいくらあっても足りませんよね。
なので、今回は抗血栓薬を服用している術後1日目の患者は、何を観察するかについてとりあえず出血と梗塞の観察をしましょうって話を書いていきます。
よかったら参考にしてもらえるとうれしいです。
では、さっそくみてみましょう。
この記事では術後の観察項目の出血と梗塞がないかについて、以下のような内容に答えていきます。
- 術後出血と梗塞の観察は抗血栓薬の特徴を知る
- 抗血栓薬を飲まなきゃいけない人はどんなタイプかがわかる
では行ってみましょう!
目次
術後1日目の看護は抗血栓薬の2タイプを知ること
患者さんによく「血液をサラサラにする薬は飲んでますか?」という質問をします。
「飲んでいる」という返答があれば、この患者さんは抗血栓薬を服用中ということが分かる質問ですね。
抗血栓薬は2種類ありまして
- 抗血小板薬
動脈血栓に有効で心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症なんかの予防に使われていてほとんど抗血栓薬はこのタイプが多い。
バイアスピリンが有名ですね。
- 抗凝固薬
静脈や心臓内の血栓予防に有効。心房細動・人工弁置換術後・深部静脈血栓症・肺塞栓症の予防に使われる。
ワーファリンが有名です。
NOAC(ノアック)と呼ばれる抗凝固薬が出てきて紛らわしくなってきているんですが(プラザキサ・イグザレルト・エリキュース・リクシアナ)などがこれにあたります。
今後、ノアックが主流になって来るのは(もうきてます)間違い無いので知っておきましょう。
少しノアックNOACについて特徴を解説しておきますね。
- ワーファリンと違う作用機序で抗凝固作用する
- ビタミンKに関係がないので、食事に注意する必要がない
- 薬効効果が早いので早く作用するし、出血したらスムーズに中止できる
- ワーファリンより作用が安定しているので、量の調整がなく定期的な血液検査チェックがいらない
- 薬単価が高い
コスト以外は、NOACノアックを薦めるのは自然のことなのでプラザキサ・イグザレルト・エリキュース・リクシアナは抑えておきましょう。
抗血栓薬のことを理解していないと術後1日目の出血と梗塞の看護ができない
血液がサラサラなんで術後出血が止まらないという出血のリスクがあります。
手術後出血が止まっていないとか、少しずつ出血しているってことは術後すぐには見えてこない場合があります。
なので、術後1日目のガーゼの観察ははじめにする方が良いです。
夜勤者がずっと観察しているので、ある程度は出血の量とかで把握はできるのですが、実際に見て観察して確認して下さいね。
創部や縫合部以外で出血を観察する看護としては、バルーンの尿色です。
万が一術中に膀胱損傷や腸管損傷していたら血尿が止まりません。
血尿が見られたら必ず陰嚢部を観察して腫脹していないかを確認した方が良いです。
術後血尿に関する記事はコチラ⬇️
出血の看護観察
- ガーゼの出血の観察
- バルーンの血尿の観察
- 陰嚢部の観察
次は、梗塞のリスクですね。
休薬すると止血効果が上がるけど梗塞しやすくなるリスクが高くなります。
つまり、出血のリスクと梗塞のリスクのバランスを考えて休薬期間を決めるべきということですね。
ですが、ノアックNOACが主流になってきているのを考えると、やたらと急薬する必要性は少なくなってきている感じですね。
と言うのも、ノアックは薬効が早いのでリスク発見に応じて対応がしやすいのもメリットとしてあるからですね。
基本的には休薬しなで、状況によって対応していくケースですね。
休薬したときは、もちろん術後いつから服用再開にするかも判断していくことになりますが、それについては翌日の出血の程度や傷の状態を見て医師の判断から決定していく感じですね。
僕の肌感覚では、出血のリスクよりも梗塞のリスクを重視してる印象です。
梗塞のリスクが上がると高齢者の場合、特に脳梗塞やら心筋梗塞やら肺梗塞やら何かと重症になるのに対し、出血のリスクは止血のために抗凝固薬やら抗血小板薬を中止するということができるからです。
血液を止めることの方が、血栓を溶かすよりカンタンだからです。
梗塞の看護観察
- 呼吸困難
- 痺れの増強や麻痺の出現
- 胸部症状
- 呂律・構音障害
梗塞の症状は一刻も早く医師に報告してバイタルサイン も取っていきましょう。
時系列の情報をメモしておくと、記録を書く際に役に立ちます。
血栓梗塞症を発症するリスクが高いのはどんな患者さんか?
最後に、梗塞を起こしやすい人についてリスクを数値化したものがありますので、紹介しておきます。
救急ではよく活用されるというか、勉強すると必ず出て来る評価法ですね。
アメリカのガイドラインで「CHADS2スコア」ってのがありまして、手術時とは関係ないですが参考にする程度でいいと思います。
通常は1~2点以上で抗凝固薬が開始される判断材料として使われます。
例えば75歳以上ってだけで梗塞症を起こさないために予防的に飲みましょうとなったりするんですね。
何かしら項目に該当してくれば介入して点数を下げていきましょうというのがねらいです。
リスク回避につなげていこうってことです。
脳梗塞の発症リスクですので梗塞症全体では分かりにくいんですけど、点数が上がればその分、脳梗塞のリスクも上がってくるということが分かります。
例えば、点数が3点だったら健常者の3倍、4点なら5倍、5点なら7倍、マックス6点なら10倍の脳梗塞発症のリスクが年間を通して患者さんを追うと、あるってことをイメージてもらえればいいかなと。
参考程度に紹介しました。
まとめ
全くの0点でも100人中1人ぐらいは脳梗塞を発症するということが、年間を通して統計上出ているってことなんで、比較するとそこまで怖がる必要もないのですが、知っておくと冷静に判断できるかなと思ったので、よかったら参考にしてみて下さい。
以上、「術後1日目の看護は出血と梗塞の観察をしましょう【抗血栓症薬の種類と特徴も解説】」でした。
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