腎盂腎炎は若い女性におおい疾患のひとつです。
でも、高齢者でもよくおこります。
しかも、症状に気付かない人もおおくいますね。
病棟では、泌尿器系の感染で入院になる高齢者がたくさんいるので、どういった看護を提供していけばいいか悩むことがありませんか?
僕が病棟に入職したころは、疾患によって変わる看護や観察に悩み不安でいっぱいな日々をすごしていました。
看護って疾患別に何をしていくのか変わってきますよね?
なので、そういった疑問や悩みに答えていきます。
この記事を読むと分かる内容は以下の通りです。
- 腎盂腎炎の病態がザックリ分かる
- 腎盂腎炎患者にたいする具体的な看護が分かる
- 腎盂腎炎の観察する項目が分かる
- 悪化した時の患者の状態の経過が分かる
では、さっそく見てみましょう。
目次
腎盂腎炎の看護は慢性腎不全に移行させないこと【病態を把握しましょう】
腎盂腎炎の患者さんに対してどんな看護をしていったらいいか、結論から言うと「慢性腎不全にさせない看護」が必要です。
そこで、まず考えた方がいいことがあります。
腎盂腎炎の病気について知ることですね。
もっと言うと腎機能について知ることで解決します。
といっても時間がない人が多いと思いますので、ここではザックリ解説しておおまかな理解をして頂ければいいと思います。
腎盂腎炎の病態をザックリ解説
腎盂腎炎は、細菌が尿道から侵入します。
その菌は上行感染といって、尿道から膀胱に、膀胱から腎臓に感染を拡大していく過程をとっていきます。
初期の症状
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なかには、症状がないまま突然高熱がでて腎盂腎炎が診断されることもありますね。
腎盂腎炎はネフロンの数を減少させてしまいます。
腎機能を低下させてしまうので高齢者の腎盂腎炎は繰り返すと腎機能低下による慢性腎不全の原因になるというわけですね。
腎盂腎炎は腎臓の疾患なので、おしっこが出なくなると危険です。
てことは、繰り返したりひどくなると尿を濾過しなくなったり、尿量が減るんですね。
つまり、腎臓の働きが悪くなってくるので、良くないと考えます。
症状が進行したら慢性腎不全にいってしまう可能性があるので、そこに行かないような看護をしていけばいいと思います。
ぼくの病棟では、腎盂腎炎の患者さんは少ないですが、腎臓の疾患の患者さんは腎臓の働きが悪くなってくるとどんどん尿量が少なくなってきます。
尿の色も汚くなるし、臭いも悪臭になります。 病棟に居ると、ポータブルトイレで排尿されていて、患者さんの部屋に入っただけでおしっこ臭いのが強烈に感じられるのはよくあります。 それだけで「あっ!この患者さんの腎臓は状態が良くないな」とかが分かります。 あと、なんか分かんないけど熱がよく出たりするときは、慢性的な腎臓の感染が繰り返しているかのしれないと思って注意します。 |
高齢者は症状も出にくく、気付かないうちに繰り返すのが特徴です。
腎盂腎炎は抗生剤の点滴が効果的なので、治りやすく予後も良好ですけど、だからと言って軽視せずに看護していくことが看護の気づきになると思います。
具体的な看護を下記に示していますので参考にしてみて下さい。
具体的な腎盂腎炎の看護
- 水分を促す(尿量を増やして細菌をだす)
- 悪寒は保温する(毛布や電気毛布の使用、湯たんぽ)
- 発熱と解熱を繰り返していないか
- 尿量のチェック
- 尿の性状や臭いのチェック
- 食欲不振なら食事形態の工夫
- 悪心の出現や嘔吐があれば口腔ケアや環境汚染の予防、不安に対する緩和
- 日常生活の援助
- 女性が多いので羞恥心の配慮
- 浮腫が起こるので体位の工夫をしつつ足浴やマッサージ、または温罨法
- かゆみの出現には衣服の配慮や皮膚損傷に注意する
腎盂腎炎から慢性腎不全に移行していくことは稀ですけど、ネフロンの数が減っていくことを念頭に入れておくと良いと思います。
腎盂腎炎で看護する観察項目は全身状態を見ていきましょう
受け持ちやその日の担当になった時に観察していくことは、主に症状を見ていけばいいと思います。
腎盂腎炎の患者さんの特徴として全身症状が強く現れやすいってことですね。
腎臓の実質臓器の感染は発熱するっていう特徴がありますので、かならず熱が出ます。
熱が出ない泌尿器系の感染では発熱の有無である程度アタリがつけられるんですね。

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たとえば下記のような感じ
・尿路感染であれば熱は出ません。
・膀胱炎でも熱は出ません。 |
しかし、それ以上のうえの腎実質に拡大してくると高熱が出ます。
男性の場合、前立腺炎は発熱します。
高齢者の場合、慢性的に繰り返してくると発熱しにくくなる人がおおいです。
ときに重症化して高熱を出すことがあるので、推測として深い読みが必要になってくるかもですが、まずは全身状態の症状や発熱を観察していくのがいいと思います。
腎盂腎炎の観察項目
腎盂腎炎の観察項目を下記に示していますので、参考にしてみて下さい。
- 発熱がないか
- 悪寒がないか
- 悪心・嘔吐がないか
- 腰背部の痛みがないか(脇腹もふくむ)
- 全身症状の自覚がないか
- おしっこのとき痛みがないか
- おしっこが近くないか
- おしっこの色がいつもと違わないか
- バイタルサイン
たとえば、入院患者さんが寝たきりで会話でのコミュニケーションがとりにくい時もあると思います。
その時はバイタルサインとオムツ内の尿の性状を観察します。
もしくは尿バックの量と色ですね。
たまに、尿路バックを使用している患者さんでバック内の色が紫色に変色していることがあります。
見たことないでしょうか? これは感染徴候のサインです。 といっても何か治療が必要だとか、緊急性があるわけではないので経過観察になりますね。 |
腎盂腎炎が悪化するとどんな経過をたどるのか
腎盂腎炎は割と治りやすい病気ですけど、悪化すると尿量が減り腎不全になっていきます。
看護をするとき、腎機能の悪化に気付くためにはどういった過程を経て悪くなっていくかが分かっていると予防的な看護をしていく上で判断しやすくなるのではないかと思います。
こちらも下記に示していきますので、参考にして頂けたらと思います。
腎機能が悪化してきていると思われる判断材料
- 高血圧になってきます
- 夜間など尿量が多くなり尿を濃縮する機能が悪くなってきます
- 浮腫をきたしてきます
- 体がだるいなどの倦怠感を訴えるようになります
- 心臓の機能が低下してきて心不全の症状が見られます
- おしっこの量が極端に少なくなってきます
- 気分がすぐれず不整脈や呼吸に異変がでてきます
- 消化管症状を訴えてきます(吐き気など)
- 貧血のような症状を訴えたりします
以上は腎機能をいろんな側面から悪くなってきたときの症状や訴え、全身状態の経過を書き出しています。
腎盂腎炎の看護では重症化していかないような関りが必要になりますけど、漠然としているので、どうしても重症化していることに気付かないことが多いです。
たぶん僕の病棟でもきちんと看護できてるか?といったらあいまいなところです。
重症化してきているかをみるポイントは、慢性化の経過を辿っていないかを疑ってかかることから始まるってことですね。
まとめ
腎盂腎炎に対して行う看護について書いていきました。
考え方としては、慢性腎不全に移行しないような関りをしていくにはどうすればいいかを考えて、看護していくことだと思います。
あとは、日々の看護の観察項目としてポイントとなる発熱の経過をみたり、全身症状が強く出やすいので、症状の緩和にはどんな看護を提供していけばいいかを考えることによって腎盂腎炎の看護の本質が見えてくるのではと思います。
参考にして頂けるとうれしいです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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