胃ろうを造設した患者さんが手術後部屋に戻ってきてたけど、夜勤とか日勤では何を観察して行けばいいの?
また、胃ろうで使うカテーテルって何種類かあるけど違いがあるの?
という疑問に答えます。
この記事を読んで分かる内容は以下のとおりです。
- 胃ろう造設後の観察項目がわかる
- 胃ろう造設の目的と一度作ったら抜去が難しいことがわかる
- 胃ろう造設で使うバルーンの4種類の特徴がわかる
胃ろうカテーテル造設した後に観察するポイントはそんなにはありませんが、いくつかあるので参考にしてもらえるといいと思います。
では、さっそく見ていきましょう。
目次
胃ろう造設後のカテーテル観察のポイント
まず、胃ろうカテーテル造設して基本的にはすぐに栄養を注入できますが一般的に2~3時間は何もせずに経過を見ることが多いです。
胃ろうカテーテル造設後、1週間ぐらいで瘻孔が完成してくるのでその間にトラブルは起きやすい。
【1週間以内に起こりやすい合併症はこれ!】
・創部感染
・瘻孔感染 ・誤嚥性肺炎 ・出血 ・腹膜炎 ・麻痺性イレウス |
などです。
また、自己抜去やバンパー埋没症候群なども起こるため観察は大事。
胃ろうカテーテル造設後浸出液とか出血があったりするのでYガーゼを敷き込みますが、バンパー埋没症候群にならないようにする予防の役目もあります。
だいたい、1㎝ぐらいの余裕を持って造設されるのでバンパーの皮膚圧迫してないかの観察はした方がいいです。
ポイントは、カテーテルが回転することと、上下に動くことを確認します。
皮膚の観察は、創部感染のジェーンの基準ってのがあるので気になる方はググってもらえると詳しく載ってますので、参考にしてください。
といっても、分かりにくいのでここは何かおかしいぞ!って感じたらでいいと思います。
ぼくが失敗した経験として以下のことがありました。
胃ろう造設後の初日の夜に、観察としてダンパーを回転させてしまったことが原因で出血したそうです。
夜勤明けで帰ったあと、連絡があり「胃ろう刺入部から出血してるけどなんかした?」って聞かれました。 実際には、何もしていなかったんですけど(目視で観察しただけ)記録に回転良好って書いてしまっていたので、そのことについて問題になりました。 結局、医師からは胃ろう造設後の日は、回転させるとか、ダンパーを触るとかしないで、経過を見るようにとのルーチン指示が取り決められました。 |
内心、医師の手術手技の問題じゃないかな?と思いましたけどね。
なので、胃ろう造設直後は、よっぽどのことがない限りそのままで経過観察する方がいいです。
もし、出血がじわじわ出てい印象のときは、ガーゼを厚めに上から当てて様子観察でいいと思います。
はなしを戻しますね。
ふつう瘻孔は1週間で完成するので、その時期にはシャワー浴して大丈夫となります。
2週間後に入浴の許可が出ることが多いとおもいます。
胃ろうを造設したら口腔は使わないからと言って、口腔ケアをおろそかにすると肺炎を合併するので注意が必要です。
口腔ケアは定期的に観察していきましょう。
胃ろう造設後はいきなり栄養を注入するということはあまりなく、段階を踏んでまずは白湯からスタートしてGFOを開始します。
GFOについて書いた記事がありますので知りたい方はどうぞ |
問題なければ食事開始(経管栄養)となるケースが多いです。
経管栄養中に起こる、おもな症状としては以下のことを注意します。
・下痢
・嘔吐 ・発熱 |
です。
胃ろうカテーテルからの栄養注入時のポイント
胃ろうだからと言って仰臥位のまま注入してはいけません。
重力のせいで誤嚥してしまうからですね。
ギャッチアップをしますが、30~40度ぐらいを目安にして体位を起こします。
食後はガード(胃食道逆流)を起こさないように30~60分は上体を起こしておきます。
先輩看護師もあいまいなのが注入速度でして、通常200㎖/hとされています。
ガードが見られるなら100㎖/hに遅くします。
胃ろう造設の目的と手術がカンタンではない話
そもそも胃ろうとは、PEG(ペグ)といって経口から食事が摂れなくなったり嚥下機能が低下して誤嚥を繰り返してしまう患者さんに行われます。
栄養をどうやって取り入れるかは中心静脈栄養か胃ろうかになるんですが、やっぱり胃ろうを造設した方が栄養の吸収が生理的であることと、腸管内を食べ物が通るので腸内環境が保ちやすく、免疫力の保持が出来るようです。
胃ろうの造設は、比較的に低侵襲でできるものの「一度造設すると一生胃ろうを造設したまま」が求められたりします。
理由は、閉塞してしまうと再度つくるのが解剖学的にむずしいからです。
血管やほかの臓器の位置関係に難渋するので、簡単にできないわけですね。
胃ろうの造設で使うバルーンの種類は全部で4種類
胃ろうを造設する理由はそれぞれありますが、造設にあたってどのタイプのカテーテルを選択するかでメリットとデメリットがあるので、そこらへんは把握しておきたいとことですね。
そもそも、カテーテルの選択は医師が患者さんの状態をみて判断します。
4タイプある胃ろうカテーテルの種類と特徴
①ボタン型バルーン
外観の見た目もすっきりしてて自己抜去されにくいけど、胃内のバルーンに蒸留水を注入して膨らますタイプのためバルーンは破損しやすくバルーン内の水も抜けやすい。
約2か月のカテーテル交換が目安。交換はしやすい。
②ボタン型バンパー
特徴は、抜けにくく自己抜去がされにくいってことと見た目がすっきりしてる。
バンパータイプはバルーンタイプと違って耐久性があり、交換が約4~6ヶ月が目安になっていて患者さんの負担が少なめ。
交換はバルーンの方がやりやすい。
③チューブ型バルーン
このタイプは、外観が目立つことと直接チューブが接続しているので自己抜去されやすいです。
チューブ内の洗浄が困難。
栄養を注入するのには簡易的です。
これもバルーンタイプなのでさらに抜けやすく管理が必要。
④チューブ型バンパー
チューブなのでやはり見た目の問題がありますが、バンパータイプは抜けにくく交換の目安が長めです。
ただ自己抜去されやすいということがあります。
まとめ
胃ろうカテーテル造設について書いていきましたが、まとめると観察や注意することは意外に多いですね。
1.1週間以内に起こりやすい合併症は創部感染・瘻孔感染・誤嚥性肺炎・出血・腹膜炎・麻痺性イレウス などです。
2.カテーテルが回転することと、上下に動くことを確認します。
3.口腔ケアをおろそかにすると肺炎を合併するので注意が必要です。
4.下痢・嘔吐・発熱がないか観察します。
5.ギャッチアップは30~40度ぐらいを目安にして体位を起こします。
6.食後はガード(胃食道逆流)を起こさないように30~60分は上体を起こしておきます。
7.注入速度は通常200㎖/hとされていて、ガードが見られるなら100㎖/hに遅くします。
胃ろうカテーテル造設後のトラブルは一時的なことが多いので観察の中でおかしいと感じてもそのまま経過観察で大丈夫なことがほとんどです。
ですが看護を行う上で「ここは見逃してはいけない」ということも多々経験しますので、ポイントを押さえた看護が大事になってくるんでしょうね。
参考にして頂けるとうれしいです。
最後まで、読んで頂きましてありがとうございました。
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