腎・泌尿器系のトラブルでおしっこが汚い患者さんがいます。
尿臭が強くて部屋に入ると部屋全体が尿の悪臭で息ができないほど漂っている状態ですね。
医療者側の方が気分が悪くなります。
そんな患者さんの尿をキレイにする手技で膀胱洗浄っていうのがありますのでそれについて書いていきます。
この記事を読んで理解できる内容は以下のとおりです。
- 膀胱洗浄をする理由と看護がわかる
- 手技で準備するもの
- 方法と手順
また、おすすめ書籍も紹介してますので、よかったらみてみて下さい。
ではさっそく行ってみましょう。
目次
膀胱洗浄をする理由は正常尿に近づけるための看護?実際あまり行われなくなってきているのが現状です
寝たきりで全介助の患者さんになってくると、自分でトイレに行けないんでオムツを装着したままで排泄をします。
つまり、オムツ内での失禁状態。
尿意を感じて意思表示ができればその都度トイレに誘導してしてもらうことにはなるんですが、なかなか尿意も感じなくなるし、感じても伝えることが出来ないので、最終的にはオムツを付けざる負えないです。
オムツを付けることで自尿があるならオムツかぶれや褥瘡予防に努めることにはなるので問題ないのですが
自尿がない、尿閉となってくるとバルーンを留置しなくてはいけなくなります。
で、バルーンは定期的に交換してはいくんですが(約14日に1回)中には脱水症や尿路感染症だったりすると尿が濃縮して膀胱内に細菌が増えてしまい尿臭の原因になります。
また、腎機能が低下すると老廃物を濾過する機能が低下します。
そうすると、汚い尿が膀胱内に溜まることになるのでこれもまた尿臭の原因になりますし膀胱洗浄をしましょうか?
って膀胱洗浄の適応かな?ってなります。
尿の色や臭いが著明に変化してくるわけです。
どんな感じに汚くなるかと言うと下記は僕のイメージです
- 色は烏龍茶色
- 尿の中に白色の浮遊物が混在する
- 大根が腐ったような臭い
- 汚い公衆トイレの匂いに近いです
明かに普通じゃない汚い尿ですね。
バルーンは定期的に交換してはいくものの、浮遊物が流出したりしてきてチューブ内が浮遊物で汚れてくるんですよね。
匂いも耐えられないので膀胱洗浄をしてました。
でも最近は、膀胱洗浄自体しない方向が多いんですよね。
なんでかというと
水分を与えてどんどん尿量を増やした方が腎臓の機能低下を遅らせて体にとっては生理的で自然に則しているからです。
水分量を増やす看護
飲水を促す 点滴で補液量を増やす |
だけど、補液は時間がかかるし患者さんもそう簡単には飲んでくれないんですな。
なので手っ取り早く膀胱内を洗って尿をキレイにしてしまおうというのが膀胱洗浄です。
外部から注射器で生食をチューブから出し入れすれば浮遊物や尿の混濁もキレイになってくるというもの。
膀胱洗浄の手技で準備するものは
では、膀胱洗浄は行われなくなってきているというものの、実際はまだすることもあるので膀胱洗浄で手技に必要な物をピックアップします。
- カテーテルチップの50㏄シリンジ注射器
- ペアン
- 手袋(清潔じゃなくてよい)
- 消毒ヘキザック2本
- ごみ袋
- 生理食塩水100㏄アンプルタイプ(カテチップから直接生食を吸うため)
- 廃棄用ボトル(尿器)
手技的には簡便に行えるし侵襲も低いんで患者さんはキツイ思いはしません。
ただ、やはり外部からの操作なんで感染には注意しなければいけません。
なるべく清潔操作がいいですね。
膀洗してしまったせいで感染を起こしてしまうという話ってよくあるようです。
感染のリスクがあるわけです。
そもそも尿は無菌状態ですので。
バルーン留置のタイプにはいくつかあって、カテーテルの種類がどのタイプなのかを確認します。
1Way・2Way・3Wayの3タイプがあります。
要はチューブが1本か2本か3本かという構造でして多ければその分感染のリスクは下がります。
1Wayであればチューブとカテーテルが接続されてる部分を一旦外して洗浄します。
2Wayになると接続部を外さずに専用のコネクタから洗浄用に使用することができるのです。
1Wayは感染のリスクが非常に高く清潔操作がしっかり出来ていないとアウトです。
膀胱洗浄で必要な看護観察は処置後の発熱です。
2Wayになると洗浄用に活用できるので点滴のように持続的に膀胱洗浄が出来るというメリットがあります。
ただ、先ほども書きましたがあくまでも生理的な排尿を促していった方が安全かつ腎機能の低下も避けることができるんですね。
膀胱洗浄するかしないかは、その時の状況によりけりということでしょうか。
膀胱洗浄の方法と手順を解説します
最後に、膀胱洗浄の方法と手順について箇条書きで解説します。
参考にしてもらえるとうれしいです。
- ベッドの高さを調整し環境を整えます
- 陰部側のカテーテルをクランプする
- 尿をバックにミルキングする
- バックから延びてるチューブとカテーテル側の接続部を外す
- 接続部が不潔にならないように扱う
- 生食を注入するためカテーテル接続部を消毒する
- シリンジを接続しクランプを除去して生食を注入する
- 生食がなくなるまで何回か繰り返す
- 尿の色がキレイになったら残尿分も採り破棄する
- キレイにならない時は生食をもう一本追加する
- 終了したら再度接続部を消毒してバルーンとカテーテル部をつなぐ
いちど経験できれば大体理屈がわかってできるような手技ですのでもししたことがなければ参考にしてみてください。
ちなみに、膀胱洗浄は一回すればOKという手技ではないです。
繰り返し数日かけて継続して看護も行います。
なので、徐々に膀胱内の汚染が改善していくようなイメージですね。
まとめ
膀胱洗浄はとても簡便で患者さんにも侵襲の少ない手技ですが、実際はとても感染のリスクの高い手技でもあります。
見た目上は尿もキレイになるので安心してしまいそうですが、その後の観察も注意して看護していく必要があります。
また、患者さんが水分や食事をうまく摂取できるような看護の取り組みがいいということが分かると思いますので、よく患者さんのバックグラウンドを加味して選択するようにしたいです。
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