糖尿病薬で「ベイスン」という薬があります。
ボグリボースと言う名前より、ベイスンの方が聞き慣れている人は多いのではないでしょうか?
と言うのも、ベイスンは商品名なのでよく耳にしてたし、感覚として響きがまあまあで覚えやすい字面ですもんね。
なのにですね、昔から飲まれているのにもかかわらず作用機序は?
と言うと、よく知らないしベイスンといえば「糖尿病薬でしょっ」て思って終わっていました。
答えは、作用機序はボグリボースで、血糖コントロールしている。
です。
臨床ではボグリボースはよく使う専門用語です。
けど、ボグリボースは何となくスルーしてしまっている人も多い。
そもそもボグリボースって何?ってとこから解説して、さらには飲み忘れた時の対応なんかもわかりやすく解説してみますね。
この記事では以下のことについて解説してみます。
- ボグリボースとは何なのか?を分かりやすく解説
- α−グルコシターゼ阻害薬の3つの作用機序を解説
- 飲み忘れた時の対応について看護のポイントを解説
また、おすすめ書籍もご紹介していますので、よかったらみてみて下さい。
それでは見ていきましょう。
目次
ベイスンはボグリボースという作用機序によって血糖コントロールしている
ベイスンは、ボグリボースという作用機序で血糖の上昇を抑えている。
これが、ボグリボースの意味です。
ちなみに、ボグリボースという薬の商品名でも販売されています。
つまり、ボグリボースとは、どうやって血糖を下げるのか?
どういうメカニズムで血糖が上がらないようにコントロールしているのか?
ということを説明した、作用機序の名前に過ぎません。
もっというとボグリボースは薬の主成分で、効能と言ってもいいですね。
たとえばですけども、会えない相手に要件を伝える方法として、いくつか手段がありますよね。
電話をするか、メールを送るか、手紙を送るかなど、どの手段を選択するかは相手に伝えるという結果が同じであるのでどう伝えるかは違ってもいいわけです。
つまり、相手に伝えることに対する手段が複数あるうちの一つを選択している。
ボグリボースとは、血糖をコントロールする手段の一つということになります。
ボグリボースの作用機序を分かりやすく解説
ボグリボースの作用機序は、カンタンにいうと以下になります。
食べ物を食べたらブドウ糖という小さい糖に分解するために、α−グルコシターゼという分解酵素が発生するんですけど、α−グルコシターゼの邪魔をするのがボグリボースの作用機序。
ボグリボースによって邪魔されたα−グルコシターゼは、食べ物を小さい糖(ブドウ糖)に分解できないから血糖値が上がりにくくなる。(遅くなる)
というのが理論。
ちょっと補足すると
腸管において二糖類から単糖類への分解を担う二糖類分解酵素がα−グルコシターゼで、それを阻害することによって糖質の消化・吸収を遅らせることになるんで、食後の過血糖を改善します。
いずれにしろポイントは、
ボグリボースはα-グルコシダーゼを阻害して糖の分解を遅らせる
ってことですけど、α−グルコシターゼは腸管の中にあって、糖を分解する酵素なんだなあということを理解できればOKです。
α-グルコシダーゼを阻害する作用機序は3つある
もう少しくわしく説明すると、α-グルコシダーゼを阻害するには3タイプの作用機序があります。
それぞれ一個づつ役割が決まっています。
先ほど説明したボグリボース以外の2つを以下に解説しますね。
- アカルボース
小腸のα-グルコシダーゼ活性を用量依存的に阻害するのと、膵液および唾液のα-アミラーゼ活性を阻害して食後の血糖上昇を抑制します。
α-アミラーゼは小腸内腔でデンプンをオリゴ糖にまで分解します。
- ミグリトール
小腸粘膜上皮細胞にある二糖類を単糖類に分解するためにある酵素を阻害して糖質の消化・吸収を遅らせることになり、食後の過血糖を改善します。
α-グルコシダーゼには3つの血糖上昇作用があるんだけど、どのタイプも似たり寄ったりなので、区別しなくていいです。
つまり、ボグリボースだけ大体の作用機序を理解しておけば問題ないです。
有名な薬って何?注意したい副作用は?
ボグリボースの代表的な薬はベイスンですね。
しかもベイスンは、軽度の糖尿病によく使われ境界型にも適応があります。
ほか2つの代表的な薬は以下になります。
・アカルボース=グルコバイ
・ミグリトール=セイブル |
です。
ボルグボースを飲む際の注意点と副作用
結局、ボグリボースの作用機序を理解していれば、何となく作用の場所が腹部の小腸なのでお腹の異変が起こるんじゃないかってことをイメージできればいいかと思います。
なので、まとめると以下の2点に注意というか考えが及んできますね。
- 高齢者や開腹手術の既往がある患者
- 腸閉塞などの重篤な副作用を引き起こす
糖尿病薬ってだいたい観察は腹部症状に尽きると思います。
では、副作用について下記にお伝えしておきますね。
- 低血糖:ほかの血糖降下薬との併用で低血糖が現れることがあります。低血糖症状が現れた場合には、ショ糖(砂糖)では血糖値の回復が緩徐であるため、ブドウ糖(グルコレスキュー)を投与します。(たとえばラムネ、コーラ、飴)
画像引用元:https://www.natural-pharmacy.jp/jp/item/detail?item_prefix=TF&item_code=450316&item_branch=001
- 腸閉塞様の症状:腹部膨満・鼓腸、放屁増加などが現れ、腸内ガスなどの増加により腸閉塞様の症状が現れることがあります。
下記に参考記事のリンクを貼っていますのでよかったら覗いてみてください⬇️ |
肝機能障害、黄疸:肝機能障害が出現しAST、ALTの上昇、黄疸が現れることがあります。劇症肝炎の報告もあるんで、投与開始後6カ月間は月1回の肝機能検査の血液検査をして経過観察していくことが大切になります。もし、異常が出たときは内服を中止します。- 重篤な肝硬変例での意識障害を伴う高アンモニア血症:重篤な肝硬変例に投与した場合、便秘などを契機として高アンモニア血症が増加し、意識障害を伴うとの報告があります。排便状況などを十分に確認し、異常があればすぐに服用を中止します。
- 禁忌:重症ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の患者、重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者さんには禁忌です。
薬の作用時間とシックデイの時の判断
体調がすぐれず食欲がなかったりするとシックデイを疑います。
そもそもシックディとは:糖尿病患者が治療中に発熱、下痢、嘔吐をきたし、または食欲不振のため食事が取れない状況のことである。このような場合、血糖コントロールが良好な患者でも糖尿病性昏睡に陥る可能性があるため、十分な注意が必要である。高齢者の場合、意識障害が認知症の進行と思われることもあるため注意が必要である。
参考資料引用元: ウィキペディア |
- 薬の作用時間は2~3時間。
- ピークは約2時間。
- 食直前に服用を忘れた場合は、食事中に服用する。
- 食後に飲むのは効果が期待できないので服用しない。
- シックデイの時は服用中止。
まとめ
では、あらためてボグリボースについて、まとめますね。
- ボグリボースは血糖コントロールをするための方法手段のひとつということ
- 作用機序は3つあるがボグリボースだけ理解しておけば良い
- 食事中に飲み忘れに気づいたら服用していいが、食後飲んでもムダ
ちなみに、服用後腹部膨満感や放屁、鼓腸などが生じやすくなるんで、服用開始1~2週間で軽減してくる。
また、低血糖症状が出た場合は、二糖類であるショ糖では血糖値の回復が遅くてダメで、単糖類のブドウ糖を10g「グルコレスキュー」の経口投与が効果がありますね。
なければ、飴とかソフトドリンクを飲ませるとかですけど、そもそも経口摂取が無理なら静注の対応するしかないので、指示がなければドクターに指示をもらうしかないです。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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