母の咳がうるさいと言って搬送になった急性心不全の看護【体験談あり】

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自分の母親が高齢になってくると、いつどんなときに体の不調をうったえてくるか分かりませんね。

ぼくは両親とも元気に過ごしていますが、わりと近くにいないので何かあったときは心配になります。

でも、よく分からない症状のときは、一緒に住んでいると何かとうざく思ったり、面倒な時もありますが、そんな時は迷わず病院へ連れて行ったほうがいいときもあります。

・咳がひどい母親のことを「うるさい!」と言って救急搬送になってきた急性心不全のケースがあったので看護の視点から共有していきたいと思います。

ぼくの看護歴は17年ぐらいです。そのうち整形外科領域が14年で一般病棟歴2年目の経験があります。

経験をもとに書いていきますので、参考にしてもらえるとうれしいです。

この記事を読んで分かることは以下になります。

  1. 「息苦しい」っていう訴えがあった時はどういった対応をした方がいいのかがわかる
  2. 胸水なのか痰なのかを判断する方法がわかる

では、さっそく見ていきましょう。

母親の咳がうるさいと思っていたら急性心不全で入院になったけどこれがヤバかった件

先日、急性心不全で夜間入院ししてきた80代の認知症の女性です。

【患者さんの特徴】

  • 認知症あり
  • 暴言あり
  • 危険行動あり
  • 指示が入らない
  • 息子と二人暮らし

息子から「母の咳がうるさくて息が苦しそう」

ということで救急車で搬送になりました。

急性心不全で呼吸困難の訴えが強かったため、入院となった症例ですね。

入院してからは、息苦しさもじょじょに軽減してきていました。一時的にSPO2が60%台にまで下がったとのことでしたが、少しずつ落ち着いていました。

でも、いつまた呼吸が苦しくなって呼吸困難が再燃するかもしれないという状態だったですね。

しかも、この患者さん結構な重症の認知症をもっていまして、こちらの指示が入らなくて、言うことを聞いてくれないんですね。

しばらくは安静にして休まれていたのですが、徐々に意味不明なことを言ったり、ベッドから起き上がろうとしたりしてきて認知症の症状がバリバリの状態でした。

帰ろうとするし、暴言、暴力などが興奮とともにぶり返してきてましたね。

これは、つまりBPSDの症状になります。

BPSDについての関連記事はこちら↓

認知症の中核症状とBPSDについて何が分かる?

こちらの呼びかけや指示も全く聴く耳を持たなくなるぐらい興奮状態になってしまいました。

患者さん本人からしたら急に入院になって環境が変わったり、看護師や他のスタッフがひっきりなしに出入りする状況に、ストレスフルな状態だったんだと思います。

酸素投与は夜間からずっと継続しておりまして、酸素化の状態をみながら徐々に流量を下げていってました。

しかし、BPSDの症状が出現してからというもののカニューレは勝手に外してしまうし、心電図のモニターも外されるので酸素が安定せず困りました。

また、本人は呼吸苦の自覚がなくなると「家に帰る」と言ってどこかに行こうとしたり、ベット上の安静がほぼほぼ保てませんでした。

患者さんの抵抗に何とか対応して、そうこうしているうちに、呼吸がまた苦しくなってきたのでしょう、だんだんと呼吸が促拍傾向となって、「ゼエゼエ、ハアハア」してきました。

喘鳴が聞かれるされるようになってきて、咳嗽発作もきかれるようになりました。

息苦しくなってきたときの対応

・酸素の増量

・ベッドのギャッチアップ

とりあえず上記の対応をするかを考えればいいです。

酸素を増量する理由は、たんに酸素濃度を上げるためにしますね。

ギャッチアップは上体を起こすことで、横隔膜を重力を利用して下げるためで、そうすると呼吸が楽になって負担が軽くなるからですね。

この患者さんの場合、認知症ですので何かブツブツ言いながらベッド上をゴソゴソして効果がなかったですね。

で、だんだん呼吸状態が悪くなり、SPO2も90%台を切るようになってきてしまいました。

本人は苦しいと言いながらも病識が理解できてないので、自分でもどうしていいか分からないみたいです。

認知症の人はとくにそうで、どんなに命の危機が迫ってこようとこちらの指示命令は通らないですね。

カンタンに言うと動物的な本能でしか理性がない感じですね。

脳の機能が低下しているので高次機能が保てないので本能のまま行動するんじゃないでしょうかね。

よく身の置き所がなく落ち着かない状態というのは、動物的な本能のあらわれなんです。

心不全で呼吸困難になった症例

入浴

心不全で呼吸困難のときは、酸素の投与とギャッチアップでつないでいけばなんとか医師への指示までに時間が稼げます。

でも、認知症があって本能のままの状態になったこの症例では、酸素もうまく投与できずにすぐ外してしまいます。

SPO2は80%台前後を行ったり来たりしてきて喘鳴がひどくなるばかりでした。

冷や汗も玉のようにたくさんでてきて、本人も身の置き所がなくなりながらも「苦しい苦しいもうやめて~!」と錯乱状態になりました。

酸素はリザーバーに切り替えてるけど全く酸素化は低いままで反応してくれませんでした。

心不全の急性増悪で呼吸困難な状態が悪化しているのが分かります。

喘鳴が出現し肺が溺れているために上手く肺胞が酸素を取り込めません。

治療はラシックスで水を抜く

心不全は肺に水が溜まって呼吸困難がひどくなる病気ですので、治療としては原因である胸水を抜いてあげることが必要になります。

有名なのがラシックスです。

この症例でも、ラシックス投与のドクターからの指示待ち状態だったんですね。

祝日で医師不在だったので医師が捕まらなかったってのもあります。

また、あらかじめ急性増悪時の指示がカルテ記録になかったため医師に連絡して指示を仰がなければいけない状況だったからです。

胸水なのか痰なのかを判断する方法

心不全からの喘鳴なのか?それともただ気道に痰が貯留しているから喘鳴に聞こえるかの判断は意外と分かりにくい時がありますね。

その場合以下の手技で判断できます

・吸引

いちど吸引して痰の貯留がないかしてみると分かります。

このときもはっきり胸水なのかどうかというところで、吸引してみました。

ピンク色の痰がすこし取れたので、急性心不全の肺に水が溜まってきてる所見。それが見られました。

喘鳴はあきらかに両肺野全体から聴取されてて、吸引してももちろん痰は回収出来ませんし呼吸は改善しませんでした。

つまり、胸水があるってことが言えるわけですね。

では、その後ラシックスはどうしたかというと、その日は休日でしたので、医師との連絡がなかなか取れなくて時間がかかりました。

薬剤の投与指示をもらってラシックスを0.5㎎静注しました。

30分ぐらいでみるみる酸素化が正常に戻ってきまして、患者さんも散々興奮して疲れきったのか、すっかり安静になりぐったり状態となりました。

SPO2も95%に回復し呼吸も平静になりました。

喘鳴も聞こえなくなり、本人もケロっとした表情。

何という薬の効果!

ここまで利尿作用って効果てきめんに現れるんです。

こういった心不全の急性増悪に対しての対応は医師との連携を一刻も早くとって、指示をもらうことです。

看護師の出来る呼吸の補助や援助はほんとに気休めにしかならないと感じますね。

まとめ

咳がうるさいと言って救急搬送された心不全の看護について書いていきました。

まとめると以下のような感じになります。

  1. 看護師の出来ることって限られている
  2. できることはやる。酸素投与とギャッチアップ
  3. 医師の指示をもらうために時間稼ぎをする
  4. 医師の指示を元に治療するので、連携をはやく取って指示をもらう

色んな方法で患者さんの治療の援助を行っていくけど、医師の指示がなければ医療行為ってまだまだ出来ることって少ないし、出来る範囲でするには医師の判断が必要不可欠です。

今回の症例では、認知症もある人だったので看護を提供しても協力が得られないこともありますからね。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

参考にしてもらえるとうれしいです。

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