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認知症の「誤認」症状が勧誘に引っかかりやすいその理由
認知症の方に限らず見間違えや勘違いはよくあることですが、認知症の方は「誤認」という症状を引き起こすことがあります。
認知症の誤認は一人暮らしの高齢者に多くある症状です。
誤認を引き起こすと色んな勧誘にホイホイ付いて行ってしまう。気付いたらだまされた!ってことがあるといけないと思っています。
私もよく入院してる患者さんと接する中で経験がありますが、例えば「○○君久しぶりだね来てくれたの?」とか「あんたは○○さんでしょ。一緒に連れて帰って。」というように自分の家族と間違えたり身内の誰かと思って話し始めたりっていうことがよくあります。
この「誤認」とは、ただ勘違いしているとか見間違えているというわけではなく認知症からくる症状でして、幻覚にも似ているんですが違います。
心理症状の一つである「誤認」について分かりやすく解説して、なぜ勧誘に引っかかってしまいやすいのかについて書いていきますので興味のある方や知りたい方は読んでみて下さい。
「誤認」とは妄想的で思い込みや信念が作り上げている虚像
認知症の方が起こす症状で「誤認」があります。これは先ほども言いましたが見間違いや勘違いの様な、普段私たちが生活している中で経験する誤認とは違うんですね。
幻想ともよく間違ったりしてしまうんですが、認知症が原因で起こる誤認の場合は、実際のものとは違うものを見たり聞いたりしてしまううえ、本人が妄想的に抱いてしまっている思い込みからくる信念や作り上げたことが原因で起こります。
誤認は本人がそう思い込んでしまっている虚像から生まれてきているため、自分では気づかないということが特徴としてあります。
もっと言うと周りが間違いを訂正してもそれを疑ったりしてしまうほどです。
よくある勧誘や犯罪として、オレオレ詐欺なんかがありますが、よく電話口でだまされるのは認知症の「誤認」が症状として出てきているために疑うことも出来ないまま、思い込んでしまうからではないかといつも感じます
オレオレ詐欺に引っかかってだまされてても気付かないのはだいたい高齢者の一人暮らしとかの方が多いです。
一時期ニュースで随分流れていましたから誰がだまされる対象なのかが分かると思います。
毎年そういったオレオレ詐欺の被害が減らないのも高齢者をターゲットとしていること、根本的な原因を認知症も含めて考えて、行っていないからということだと思います。
「振り込む前に疑って誰かに相談しましょう」と言われても、最終的には自己責任でかたずけられてしまっていますし、一向に解決していないのが現状です。
誤認が勧誘に引っかかりやすい理由
その理由はそもそも妄想的に思い込んでしまっている「誤認」が思考を止めてしまっているんだと思います。
思考が止まっているわけですから、言われるがまま勧誘されるがままなので信じ込ませるには簡単なことなんです。
信じ込んだら最後、言われるがまま自動的に行動へと移ってだまされることになる。
つまり、背景には「誤認」という認知症の症状が始まっているということが言えるんですね。
認知症の方は、よく似た別の人とすり替わってもまったく気付かないときがあります。
その一方で、家族本人なのに、別な人とすり替わっていると信じ込んでいたり、鏡に映っている自分を他人だと思ったり、ということもあるんですよ。
認知症の症状は急には起こらないのでじわじわと時間をかけて出てきます。
周りも中々気付きにくいというところがありますからね。
誤認に対する対応の仕方は?
誤認はその時にきちんと本人に訂正して「違いますよ」って言ってあげればいいことですので、対応としては簡単だと思います。
普段の生活で犯罪性がなければ何も問題はないでしょう。
ただし、ここで注意してほしいのはこれが物とられの様な妄想であれば否定はせずに気持ちに共感してあげることです。
あくまでも「誤認」は妄想とは違いますからですね。
妄想について分かりやすく解説していますので妄想でいちばん多い「ものとられ妄想」は否定してはいけない、気持ちを受け止め「共感」することと「整理された環境」を作ること。をご参照してください。
誤認は自分が「こうだ!」と思い込んで信じ切っている思考の間違いなのできちんと訂正して対応していきましょう。
以上、「認知症の「誤認」症状は勧誘に引っかかりやすいから注意した方がいい」でした。
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